
挿し木とは?|挿し木の基本知識
1. 挿し木とは2. 挿し穂とは
3. 挿し木のメリット
4. 挿し木に必要な条件

挿し木は、植物の一部を切り取り、新たに根を出させて育てる方法です。簡単な準備で植物を増やせるので、初心者にも人気です!
挿し木とは
挿し木は、植物の茎や葉、根の一部を切り取り、それを新しい土や水に挿して根を生やし、独立した植物に育てる方法です。植物を効率的に増やせるため、園芸で広く利用されています。準備が簡単で、初心者にも取り組みやすいのが特徴です。
挿し穂とは
挿し木に使われる植物の切り取った部分を「挿し穂」と呼びます。挿し穂には以下の特徴が求められます。
- 健康で病害虫の影響を受けていないこと。
- 茎や葉に新芽が含まれ、細胞分裂が活発な部分であること。
- 適度な長さ(10~15cm程度)で、節が含まれていること。
挿し木のメリット
- 種から育てるよりも成長が早い
- 親株と同じ性質の植物を作れる
- 種を必要としないので手軽に始められる
挿し木に必要な条件
- 健康な親株があること
- 切り取る部分がしっかりしていること
- 適切な環境(湿度や温度)が整っていること
挿し木は特に、観葉植物や低木、多年草など、さまざまな植物に適用できます。例えば、バラ、インパチェンス、ハーブ、アイビー、ポトスなどが一般的な挿し木向きの植物です。
挿し木に適した時期と植物
1. 挿し木に適した時期2. 挿し木に適した植物

挿し木は、植物が成長するエネルギーを持つ時期に行うと成功率が上がります!植物に適したタイミングを見極めましょう。
挿し木に適した時期
挿し木は、植物が成長期に入り、新芽が出ているタイミングで行うのが理想的です。その理由は以下の通りです。
- 成長のエネルギーが充実している
新芽が出ている時期は、植物全体が活発に活動しているため、根を伸ばす力も強くなっています。このエネルギーを利用することで、挿し木の成功率が高まります。 - 細胞分裂が活発
新芽の成長とともに、植物内で細胞分裂が盛んに行われており、切り取られた挿し木の部分でも根が出やすい環境が整います。新芽が出ている株を挿し木に利用すると、新しい根が育ちやすい状態を作れます。
地域ごとに適した時期を具体的に見てみましょう。
- 本州(温暖な地域)
春(4~6月)は、気温が安定しており、成長期に入る植物が多いため挿し木のベストシーズンです。また、梅雨(6~7月)も湿度が高いため、乾燥を防ぐ条件が整っています。 - 北海道(寒冷地)
北海道では、初夏(6~7月)が挿し木に最適な時期です。この時期は新芽が出揃い、植物が活発に成長している状態を利用できます。また、初秋(9月上旬)も挿し木に適したタイミングです。
成長が止まる冬や、真夏の高温期は、挿し木が成功しにくいため避けましょう。
挿し木に適した植物
挿し木で増やしやすい植物をいくつか紹介します。
- 観葉植物:ポトス、アイビー
- 室内植物:インパチェンス、シンゴニウム
- ハーブ:セージ、オレガノ
- 低木や花木:バラ、アジサイ、ブルーベリー
これらの植物は、適した時期に新芽を持つ健康な親株を利用することで成功率が高まります。また、宿根草では挿し木よりも株分けが主流なものが多く、成功率が植物によって異なる(難易度が高くなる)ため、この記事では、挿し木が可能かつ比較的成功しやすい種類を紹介しています。
挿し木の準備と必要な道具
1. 必要な道具2. 準備のポイント

必要な道具を揃えて、挿し木をスムーズに進めましょう!
必要な道具
挿し木を始める際には、以下の道具を準備しましょう。
- 剪定ばさみ:清潔で切れ味の良いものを使用することで、挿し木の部分を傷つけずに切り取ることができます。
- 挿し木用土:排水性の良い赤玉土(小粒)やバーミキュライト、専用の挿し木用土を用意します。
- 鉢やプランター:挿し木を挿すための小さな鉢や容器。
- 霧吹き:適度な湿度を保つために使用します。
- 発根促進剤(必要に応じて):挿し木の成功率を上げるために使用します。
道具の消毒方法
挿し木で使用する剪定ばさみは、事前に消毒することで植物への病原菌感染を防ぐことができます。以下の方法を参考に、清潔な状態で作業を行いましょう。
- アルコールを使った消毒
- 市販の消毒用エタノールを布やペーパータオルに染み込ませ、刃の部分を丁寧に拭きます。
- 乾燥が早く、簡単に行える手軽な方法です。
- 熱湯消毒
- 熱湯を用意し、剪定ばさみを1~2分程度浸します。
- 使用前にしっかり乾かすことを忘れないようにしましょう。
- 火による消毒
- ライターやガスバーナーで刃の部分を軽く炙り、熱で雑菌を除去します。
- しっかり冷ましてから使用してください。
- 漂白剤を使った消毒
- 水1リットルに漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を小さじ1杯程度加えた消毒液を作り、刃を5分ほど浸けます。
- 終了後は必ず流水でよくすすぎ、完全に乾燥させてから使用します。
準備のポイント
挿し木を始める前に、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 親株の選定:健康で病害虫がついていない親株を選びます。特に新芽が元気な枝を選ぶと成功しやすいです。
- 道具の消毒:挿し木に使用する剪定ばさみは、アルコールなどで消毒しておきましょう。雑菌を防ぐことで挿し木が腐るリスクを減らします。
- 適切な環境の整備:挿し木を行う場所は、直射日光が当たらない明るい日陰が理想的です。湿度が保たれるように管理しましょう。
- 土の準備:土は湿らせておきますが、水浸しにしないよう注意します。湿り気が適度に保たれていることが成功のポイントです。
- バーミキュライトは保水性に優れていますが、乾いた状態では水を弾く性質があるため、使用前にしっかりと水を吸わせておくことが重要です。
挿し木の手順とポイント
1. どの枝を切るべきか2. 植物別|挿し木に適した枝の選び方
3. 挿し木の手順|7つのステップ

手順を押さえれば、挿し木は難しくありません。一つひとつ丁寧に進めましょう。
どの枝を切るべきか
健康な親株の枝
- 病害虫に侵されていないものを選ぶ。
- 葉が青々として元気な株から枝を切り取る。
- 元気な親株は新しい根を出すエネルギーに余裕があるため、挿し木の成功率が高まる。
新芽がある枝
- 成長期に伸びた若い枝(新芽部分)が理想的。
- 柔らかすぎる枝は避け、少し硬さが出てきた新芽の根元部分を選ぶ。
- 細胞分裂が活発で根を出しやすい特徴がある。
適度に太い枝
細すぎる枝は水分を保持する力が弱く、枯れやすい。太すぎる枝は発根に時間がかかるため、適度な太さの枝を選ぶ。
枝の長さ
- 挿し木に使う枝は10~15cm程度の長さが理想的。
- 長すぎると水分供給が難しく、短すぎると葉や節が足りず発根しにくい。
節がある枝
- 節が土に埋まるところから根が出るので1~2つの節が土に埋まるように切り取る。
花や蕾がついていない枝
- 花や蕾の付いた枝はエネルギーを消耗するため、挿し木には不向き。
- 枝を切り取る前に花や蕾を取り除く。
植物別|挿し木に適した枝の選び方
- 観葉植物:ポトス、アイビー
- ツルや新芽が適しています。
- 室内植物:インパチェンス、シンゴニウム
- 柔らかい茎を選びます。
- ハーブ:セージ、オレガノ
- 新しく伸びた柔らかい茎を利用します。
- 低木や花木:バラ、アジサイ、ブルーベリー
- 新芽が出ている枝や半木質化した枝が最適です。
挿し木の手順|7つのステップ
1. 枝を切り取る
- 健康な親株の枝を選び、10~15cm程度の長さで切り取ります。
- ポイント
- 切り取る際は、枝に葉が2~3枚残るようにすると成功率が高まります。
- 切り口を清潔に保つために、事前に消毒した剪定ばさみを使いましょう。
2. 切り口を整える
- 切り口を斜めにカットし、発根を促しやすくします。
- ポイント
- カットする際に根を傷つけないように注意し、何度もハサミを入れないようにします。
3. 葉を半分にカットする
- 発根以外の余分なエネルギーが消耗されたり、水分が蒸発しすぎるのを防ぐため、葉の面積を小さくします。
- ポイント
- 葉の中央付近で水平に切り取ります。
- 葉を完全に取り除くのではなく、光合成に必要な面積を残します。
- 例外
一部の植物(例:多肉植物)では葉を切らずにそのまま挿す場合もあります。植物の特性に合わせて調整が必要です。
4. 水揚げする
- 切り取った枝を清潔な水(雑菌や不純物が少ない水、新しい水道水)に5~6時間程浸けて、じゅうぶんに吸水させます。
- ポイント
- 吸水させることで、枝が乾燥するのを防ぎ、発根しやすくなります。
- 切り口から空気が入り込む「気泡(エアーエンボリズム)」を防ぎ、枝がスムーズに水分を吸収できる状態を整えます。
5. 土に挿す
- 事前に湿らせたバーミキュライトや赤玉土に枝を挿します。枝が安定するよう、2~3cm程度の深さまで挿し込みます。
- ポイント
- 挿す際は、鉛筆や細い棒を使って穴を先に開けると、茎が傷つかず、また切り口がつぶれるのを防げます。
- 挿した後は土を軽く押さえて枝を固定し、茎と土がしっかり接触するようにします。
6. 湿度を保つ
- 土が乾燥しないように適度に水を与え、湿度を保つために霧吹きで葉や土を湿らせます。
- ポイント
- 直射日光を避け、明るい日陰で管理することで、挿し木が乾燥や高温のストレスを受けにくくなり、発根しやすい環境を維持できます。
7. 発根を待つ
- 約2~4週間で根が出てきます。根が十分に伸びたら、鉢や地面に移植します。発根したかどうかについては [発根したか確認する方法] で解説しています。
- ポイント
- 発根促進剤を使用すると成功率がさらにアップしますが、なくても可能です。
- 定着を助けるために植え付け後の水やりを忘れずに。
挿し木後の管理方法
1. 発根するまでのケア2. 発根したか確認する方法
3. 発根後のケア

発根を見守る丁寧なケアと慎重な確認が成功の秘訣。発根後は適切な移植と管理で植物を健やかに育てましょう!
発根するまでのケア
湿度の管理
- 土が乾燥しないように霧吹きで葉や土を適度に湿らせます。
- 必要に応じて透明な袋やラップで覆い、湿度を保つ環境を作ります。
温度と光の管理
- 明るい日陰で管理し、直射日光を避けます。
- 適温(20~25℃)を維持するよう注意します。
通気性を確保
- 病気やカビを防ぐため、袋で覆う場合でも定期的に換気を行います。
発根したか確認する方法
- 軽く引っ張ってみる
- 挿し木を土から軽く引っ張ってみて、抵抗を感じる場合は発根している可能性が高いです。根が土に絡んでいるため、簡単には抜けません。
- 新芽や葉の成長を確認
- 挿し木から新しい葉や芽が出てきた場合、それは発根しているサインです。根が成長しているからこそ、新しい成長が可能になります。
- 透明な容器を使用
- 透明な鉢や容器を使っている場合、側面から根が伸びている様子を直接確認できます。
- 水挿しの場合
- 一部の植物(例:ポトス、アイビーなど)では、水挿しで発根させることが可能です。
- 水に挿している場合、根が伸びてきたのを目視で確認できます。通常、数週間で根が伸びてきます。
注意点
- 無理に引っ張りすぎると、発根中の根を傷つける可能性があるため、慎重に行いましょう。
- 葉がしおれたり枯れる兆候がある場合は、発根がうまくいっていない可能性があります。
発根後のケア
鉢上げまたは地植え
- 発根した挿し木を丁寧に鉢や地面に移植します。
- 肥料成分を含まない土を使用するのが理想的です。赤玉土(小粒)を主体に、軽い腐葉土を混ぜたものが最適です。
- 根を傷つけないよう慎重に扱いましょう。
水やりと土の管理
- 移植後、土と根がしっかり密着するように水を与えます。
- 根が十分に張るまでは、水やりをしすぎないことが重要です。過湿を避け、適度な水分を保ちます。
- 成長が見られるようになったら、表土が乾いたタイミングで水を与えます。常に湿った状態は避けましょう。
光と温度の調整
- 植え付け後1週間程度は直射日光を避け、柔らかい光の当たる場所で管理します。
- 成長が見られるようになったら、植物ごとに最適な光環境で管理します。
発根後の施肥について
- 発根直後は施肥を控え、1~2週間後に新しい葉が出始めたら液体肥料を薄めて与えます。
- 液体肥料を規定の1/2~1/3程度に薄めて使用するのがおすすめ。緩効性肥料も少量でOK。
挿し木で失敗しやすいケースと対策
1. 水を与えすぎて根腐れする2. 植え付けが浅すぎる or 深すぎる
3. 葉がしおれる3つの原因
4. 切り口から病気が発生する
5. 肥料で根が傷む
6. 時期が合わず上手く育たない

挿し木の成功は、失敗ポイントを理解し、正しい対策を講じることがカギです!原因を把握して適切に対応しましょう!
水を与えすぎて根腐れする
- 症状:挿し穂が腐る、土が常に湿った状態になる。
- 対策:排水性の良い土を使用し、土が乾いてから水を与える。
植え付けが浅すぎる or 深すぎる
- 症状:挿し穂が安定せず、発根しにくい。
- 対策:2~3cmの深さにしっかり挿し込み、挿し穂の周りを押さえて固定する。
葉がしおれる3つの原因
- 症状:挿し穂の葉が元気を失い、しおれる。
- 原因と対策
- 湿度不足:霧吹きや透明な袋で湿度を保つ。
- 光が強すぎる:明るい日陰で管理する。
- 水分不足:土が乾きすぎないように注意する。
切り口から病気が発生する
- 症状:挿し穂が腐敗し、発根が進まない。
- 対策:清潔な剪定ばさみ、清潔な新しい水、清潔な新しい土を使用し、切り口を発根促進剤で保護する。
肥料で根が傷む
- 症状:発根しない。または発根後、根が焦げたようになる。
- 対策:肥料成分を含まない土を使用する。発根直後は肥料を控える。
時期が合わず上手く育たない
- 症状:発根せず、挿し穂が枯れる。または腐る。
- 対策:植物ごとの成長期(新芽が出る時期)に挿し木を行う。
Q&A|挿し木に関するよくある疑問

「挿し木」に関する「よくある質問と解決策」を以下にまとめました。
Q1: 挿し木を成功させるために必要な条件は何ですか?
A: 挿し木の成功には、健康な親株、適切な環境(湿度や温度)、そして清潔な道具が必要です。👉詳しくは、[挿し木に必要な条件]で解説しています。
Q2: 挿し木に適した時期はいつですか?
A: 挿し木は成長期(新芽が出る時期)に行うのが理想です。地域によって適切な時期が異なるので注意しましょう。👉詳しくは、[挿し木に適した時期]で解説しています。
Q3: 挿し木で使う枝はどのように選べばいいですか?
A: 新芽があり、健康で適度な太さの枝を選ぶことが重要です。節が含まれることもポイントです。👉詳しくは、[どの枝を切るべきか]で解説しています。
Q4: 発根したかどうかはどう確認しますか?
A: 軽く引っ張る、透明な容器を使う、新芽や葉の成長を確認するなどの方法があります。👉詳しくは、[発根したか確認する方法]で解説しています。
Q5: 発根後の管理で注意することは?
A: 発根後は、適切な鉢上げや水やり、光環境の管理が重要です。特に移植直後は直射日光を避け、明るい日陰で管理してください。肥料は成長が安定してから少量ずつ与えるようにしましょう。👉詳しくは、[発根後のケア]で解説しています。
まとめ|挿し木で植物を増やそう!
挿し木は、植物を健康に保ちながら増やせる便利な方法です。この記事では、挿し木の基本から適した時期や手順、必要な道具、挿し木後の管理までを詳しく解説しました。ここでは、各ポイントを振り返りながら、失敗を防ぎ、成功させるためのヒントを再確認しましょう。

挿し木を通じて植物を増やし、健康に育てる楽しさを体験しましょう!丁寧な手順と管理が成功への近道です。
次は、植物を増やす他の方法『取り木の方法|木や観葉植物を増やす方法』について学びましょう!