
株分けとは?|株分けの基本知識

株分けは植物をリフレッシュしながら増やせる、ガーデニングの基本テクニックです!
株分けとは、植物の株を分割して複数の個体に分ける方法です。多年草や宿根草など、成長とともに根が密集してしまう植物に適しています。株分けを行うことで、植物に以下の効果があります。
- 植物のリフレッシュ:根詰まりや株の老化を防ぎ、新しい根や芽が育つことで植物が健康になります。
- 増やす楽しみ:1株の植物を複数に増やすことができ、花壇や鉢をより豊かに彩ることが可能です。
- 株の整理:庭や鉢で大きくなりすぎた植物を整理し、スペースを有効活用することができます。
株分けに適した時期と植物
1. 株分けに適した時期2. 株分けが必要な5つのサイン
3. 株分けに向いている植物

株分けに最適な時期と植物を選んで、植物を元気に育てましょう!
株分けに適した時期
株分けを行うのに最適な時期は春と秋です。植物の成長が穏やかで、根が新しい環境に順応しやすいため、失敗のリスクが低くなります。
ただし、北海道では春(4月下旬~5月中旬)と秋(9月下旬~10月中旬)が最適な時期です。
- 春(4月下旬~5月中旬)
気温が上がり始め、地上部が伸び始める前は、根が新しい環境に順応しやすい時期です。 - 秋(9月下旬~10月中旬)
地上部が枯れ始める前に株分けを行うことで、冬越し前に根をしっかり定着させることができます。
注意点
- 10月下旬以降の株分けは避けましょう。気温が下がりすぎて根が傷み、冬越しに失敗するリスクが高まります。
- 春の株分け(4月下旬~5月中旬)を行いたい場合は、秋の段階でしっかりと計画しておくことが大切です。秋のうちに株の状態をよく観察し、春の株分けに向けた準備を意識しておくことで、タイミングを逃さずスムーズに作業ができます。
株分けが必要な5つのサイン
1.株が大きくなりすぎて鉢が窮屈になっている
- 株が鉢いっぱいに広がり、根が鉢底からはみ出している場合は、株分けのタイミングです。植物の健康を保つため、株を分けてスペースを確保しましょう。
2.株の中央部分が枯れ始めている
- 成長した株の中心部が枯れてきた場合は、周辺部分の栄養が奪われている可能性があります。株を分けることで、健康な部分がリフレッシュし、新たな成長が促進されます。
3.花付きや成長が悪くなっている
- 植物が元気を失い、花が咲かなくなったり、成長が鈍くなったりするのは、根詰まりや栄養不足が原因かもしれません。株分けで株全体の負担を軽減しましょう。
4.株が倒れやすくなっている
- 株が広がりすぎて安定感を失い、倒れやすくなっている場合も株分けのサインです。しっかりと植え替えを行い、バランスを整えましょう。
5.株が混み合い、風通しが悪くなっている
- 密集した株は風通しが悪く、病害虫が発生しやすくなります。株を分けることで、植物が健康に育つ環境を整えることができます。
株分けに向いている植物
以下は北海道で越冬でき、株分けに向いている植物の一例です。
- ギボウシ(ホスタ):大株になったら分けて植え替えましょう。
- ヒューケラ(ツボサンゴ):広がりすぎた株を分けてリフレッシュさせます。
- ラベンダー:風通しを良くし、株を健康に保つために株分けが効果的です。
- サンギネウム(アケボノフウロ):成長が旺盛で、定期的な株分けで増やすことができます。
- エキナセア:大株になりやすく、株分けで増やしつつ負担を軽減します。
- 宿根アスター:根が密集しやすく、株分けによって花つきや株の活力が向上します。
- ヒソップ:株が大きくまとまったら分けることで風通しが良くなり、生育が促されます。
- シレネ:成長とともに根が密集しやすいため、定期的な株分けで健康を保ちます。
株分けの準備と必要な道具
1. 必要な道具2. 準備のポイント

必要な道具を揃えて、株分けをスムーズに進めましょう!
株分けを成功させるためには、しっかりと準備を整えることが大切です。まずは必要な道具を揃えてから作業に取り掛かりましょう。
必要な道具
- スコップ(シャベル):植物の株を掘り起こすために使います。
- ナイフや剪定ばさみ:根を分ける際や不要な部分を切り取る時に使います。
- 消毒用の材料:アルコール消毒液や熱湯、ライターなど、ナイフや剪定ばさみを清潔に保つために使用します。
- 手袋:土や根の汚れ、ナイフや剪定ばさみの刃先、トゲや鋭い茎から保護するために必須です。厚手で滑りにくい素材を選ぶと安全です。
- バケツ:掘り上げた株を一時的に置くために使います。
- 新しい土(用土):株分け後に植え付ける場所に新しい土を用意しましょう。
- ジョウロ(水やり道具):植え付け後の水やりに使います。
道具の消毒方法
株分けの際に使うナイフや剪定ばさみは、事前に消毒しておくことで植物の病気感染を防げます。以下の方法を使いましょう。
- アルコール消毒
- 市販の消毒用エタノールを布に含ませ、刃先をしっかり拭き取ります。
- 短時間で乾き、手軽に行えるのが特徴です。
- 熱湯消毒
- 熱湯を沸かし、ナイフや剪定ばさみを1分程度浸け置きします。
- その後、しっかりと乾かしてから使用しましょう。
- 火で炙る
- ライターやバーナーで刃先を軽く炙り、熱によって雑菌を死滅させます。
- 炙った後は自然に冷ましてから使いましょう。
- 漂白剤消毒
- 水1リットルに対し、漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を小さじ1程度加えた液に5分浸けます。
- 使用後は必ず水で洗い流し、乾燥させてから使います。
準備のポイント
- 道具の消毒: ナイフや剪定ばさみは事前に消毒しておき、病気の感染を防ぎましょう。
- 風のない日を選ぶ: 作業中に土や株が乾燥しすぎないよう、風の強い日は避けるのがベストです。
- 土壌の状態を確認: 植え付ける場所の土が湿り気を帯びていると根付きやすいので、前日に軽く水やりをしておくと安心です。
- 気温の穏やかな時間帯に作業: 日中の気温が高い時間帯を避け、朝や夕方の涼しい時間に作業すると植物への負担が軽減されます。
- 株の乾燥を防ぐ: 掘り上げた株は長時間放置せず、すぐに植え付けるか、湿らせた新聞紙などで包んでおきましょう。
株分けの手順とポイント

手順を押さえれば、株分けは簡単!一つひとつ丁寧に進めましょう。
手順
1. 株を掘り起こす
- スコップを株の周囲に差し込み、根を傷つけないように丁寧に掘り起こします。
- ポイント: 株の根元から少し離れた場所にスコップを入れると、根を傷めにくいです。
2. 土を軽く落とす
- 掘り上げた株の根に付いた土を、優しくほぐして落とします。
- 注意点: 根を強く引っ張らないようにしましょう。
3. 株を分ける
- 手で優しく分けるか、根が絡んでいる場合はナイフや剪定ばさみを使って分割します。
- 株の中心から放射状に広がる根を確認し、自然な分かれ目(根の隙間や芽が集まる部分)に注目します。
- 大株の場合: 3~4分割が目安。
- 小さめの株: 2分割程度で十分です。
- ポイント: 健康な根と新芽(成長点)が残るように分けることが大切です。
4. 切り口を消毒する
- 株を分けた際にできた切り口は、アルコール消毒や木炭粉などを使って清潔に保ちます。
- 目的: 病気の感染や腐敗を防ぎます。
5. 新しい場所に植え付ける
- 分けた株を新しい場所や鉢に植え付けます。
- 手順: 根を広げて植え、周囲に新しい土を入れて根元を軽く押さえます。
6. 水やりをする
- 植え付け直後は、根元にしっかりと水を与え、土と根を密着させて空気の隙間を埋めます。
- ポイント: 水を与えすぎず、土がしっかりと湿る程度(根の乾燥を防ぐ程度)に与えるのがコツです。
株分け後の管理方法|5つのポイント
1. 適切な水やりをする2. 直射日光を避けた場所に置く
3. 風通しの良い場所で管理する
4. 肥料はしばらく与えない
5. 状態をこまめに観察する

株分け後は、しっかりケアして植物が新しい環境に馴染むようサポートしましょう!
1. 適切な水やりをする
- 株分け直後は、根元に適度な水を与え、土と根を密着させます。
- ポイント
- 植え付け後の初回は、土全体が湿る程度に水を与え、根の乾燥を防ぎます。
- その後は、土の表面が乾いたら適度に水やりを行い、根腐れを防ぎます。
- 1週間程度は根元にのみ水を与え、葉には水をかけないようにしましょう。
2. 直射日光を避けた場所に置く
- 株分け後の植物は、まだ十分に光合成ができない状態なので、明るい日陰や半日陰で管理します。
- ポイント
- 直射日光に当てると乾燥して弱ってしまうため、1~2週間は避けましょう。
- 徐々に日光に慣らしていくことで、株が順調に回復します。
3. 風通しの良い場所で管理する
- 蒸れを防ぎ、根や切り口の乾燥を促進するため、風通しの良い場所で管理します。
- 注意点: 風が強すぎる場所は避け、株が乾燥しすぎないようにします。
4. 肥料はしばらく与えない
- 株分け後は、すぐに肥料を吸収できる状態ではないので、肥料を与えると根が傷んでしまうことがあります。
- 目安: 根が新しい環境に馴染む2~3週間後に、緩効性の肥料を少量与え始めましょう。
5. 状態をこまめに観察する
- 新しい芽や葉が出てきたら、株が順調に根付いている証拠です。
- 葉がしおれたり、病気が発生している場合は、株分けが失敗している可能性があります。
- 対策については「株分けで失敗しやすいケースと対策」をご覧ください。
株分けで失敗しやすいケースと対策
1. 水を与えすぎて根腐れする2. 植え付けが浅すぎる or 深すぎる
3. 葉がしおれる5つの原因と対処法
4. 切り口から病気が発生する
5. 肥料で根が傷む
6. 時期が合わず上手く育たない

適切な手順と方法、時期、株分け後の管理に気を配ることで、失敗を防ぐことができます!
水を与えすぎて根腐れする
株分け後に過剰な水やりをすると、根が酸欠状態になり、腐敗や病気の原因になります。適切な水やりが健康な成長の鍵です。
- 失敗の原因: 植え付け後に過剰に水を与えることで、根が酸欠状態になり腐ってしまう。
- 対処法
- 植え付け直後は土と根が馴染む程度の水やりを行い、その後は土の表面が乾いてから水を与える。
- 排水性の良い土を使い、過湿を防ぎます。
植え付けが浅すぎる or 深すぎる
植え付けの深さが適切でないと、根が乾燥したり呼吸ができず、植物の成長を妨げる原因となります。適切な深さでの植え付けが重要です。
- 失敗の原因: 植え付けが浅すぎると根が乾燥し、地上部が不安定になる。逆に深すぎると根が呼吸できず弱ってしまう。
- 対処法
- 根元が地表すれすれになるように植え付ける。
- 植え付け後に土を軽く押さえて安定させる。
葉がしおれる5つの原因と対処法
株分け後に葉がしおれる原因はいくつかあります。それぞれの原因と対処法を以下にまとめます。
1.根がまだ吸水できない状態
- 原因:株分けによって根が切られると、水分を十分に吸収する能力が一時的に低下します。これにより、最初の2~3日間は葉がしおれることがよくあります。また、植え替え直後は、植物が新しい環境に適応するためにエネルギーを消耗します。葉が元気を取り戻すまで1週間程度かかることがあります。
- 対処法:植え付け後、根元に適度な水を与え、土と根を密着させます。直射日光を避け、明るい日陰で管理します。
2. 植え付け環境のストレス
- 原因: 株分けによる環境の変化は植物にとって大きな負担となります。これが原因で葉がしおれることがあります。
- 対処法: 株分け後1~2週間は日陰で管理します。徐々に日光に慣らしていくことで回復しやすくなります。
3. 水分不足
- 原因: 土の表面が乾燥しすぎると根から十分な水分が吸収できず、葉がしおれる原因となります。
- 対処法: 土の表面が乾いていたら、根元にしっかり水を与えましょう。乾燥しすぎないよう注意し、定期的に水やりを行います。
4. 根が傷んでいる
- 原因: 株分け時に根を傷めたり、切り口が乾燥してしまうと水を吸い上げる力が弱くなります。
- 対処法: 株分け時に根の切り口を木炭粉や消毒液で処理します。植え付け後は根が定着するまで土を密着させ、根の乾燥を防ぎます。
5. 蒸れや過湿
- 原因: 水を与えすぎたり風通しが悪いと、根が呼吸できずに葉がしおれる原因になります。
- 対処法: 適度な水やりに留め、排水性の良い土を使用します。風通しの良い場所で管理し、根が呼吸しやすい環境を整えます。
切り口から病気が発生する
株分け時に切り口が適切に処理されていないと、病原菌が侵入しやすくなり、腐敗や病気の原因になります。切り口を清潔に保ち、適切な処理を行うことで、病気のリスクを大幅に減らすことができます。
- 失敗の原因
- 根を何度も切り直したり、ギザギザになった切り口があると、傷が広がりやすく病気のリスクが高まります。
- 切り口が消毒されていない場合、病原菌が侵入して腐敗を引き起こします。
- 対処法
- 切り口は一度で滑らかに切り、傷を最小限に抑ます。
- 切り口にはアルコール消毒や木炭粉を軽く振りかけて清潔に保ちます。
- 使用するハサミやナイフは、作業前に消毒液や熱湯で清潔にしておきます。
肥料で根が傷む
適切なタイミングと肥料の種類を選ぶことで、株分け後の根への負担を減らし、失敗を防ぐことができます。
- 失敗の原因
- 植え付け時に元肥を入れたり、植え付け直後に置き肥を与えると、根が環境に適応する前に肥料の成分でダメージを受け、傷む可能性があります。
- 対処法
- 植え付け時に元肥や置き肥を使用しない。
- 肥料は根が新しい環境に馴染む2~3週間後から少量ずつ与えるようにします。
- 最初に与える肥料は、緩効性の肥料や薄めた液肥を選び、根に負担をかけないようにします。
- 速効性の肥料は避けるようにし、植物が十分に回復してから使うことを検討しましょう。
時期が合わず上手く育たない
株分けを適切な時期に行わないと、根が定着しにくく、植物の成長に悪影響を与えることがあります。時期を見極めて作業することが成功の鍵です。
- 失敗の原因
- 株分けの適期を逃し、成長期や休眠期に行ってしまったため、根がうまく定着しない。
- 対処法
- 北海道では春(4月下旬~5月中旬)か秋(9月下旬~10月中旬)に作業を行う。
- 秋に作業を行う場合は、冬越しの準備も整えておく。
Q&A|株分けに関する疑問

「株分け」に関する「よくある質問と解決策」を以下にまとめました。
Q1. 株分けに適した時期はいつですか?
A. 北海道では春(4月下旬~5月中旬)または秋(9月下旬~10月中旬)が最適です。👉詳しくは、[株分けに適した時期]で解説しています。
Q2. 株分けが必要なタイミングはどう判断すれば良いですか?
A. 鉢が窮屈になったり、中心部が枯れ始めたり、花が咲かなくなる場合は株分けのサインです。👉詳しくは、[株分けが必要な5つのサイン]をご覧ください。
Q3. 株分け後に葉がしおれるのは正常ですか?
A. 株分け直後は根が水分を十分に吸収できず、一時的に葉がしおれることがあります。適切な水やりと日陰での管理を行えば、数日~1~2週間で回復するのが一般的です。👉詳しくは、[葉がしおれる5つの原因と対処法]で解説しています。
Q4. 株分け後に肥料は必要ですか?
A. 株分け直後に肥料を与えると、根が傷む原因になります。肥料は2~3週間後に少量から始め、緩効性肥料や薄めた液肥を使用してください。👉詳しくは、[肥料で根が傷む]で解説しています。
Q5. どんな植物でも株分けできますか?
A. すべての植物が株分けに適しているわけではありません。北海道で越冬できる多年草や宿根草(ギボウシ、エキナセア、ラベンダーなど)が株分けに適しています。👉詳しくは、[株分けに向いている植物]で解説しています。
まとめ|株分けで植物を健康に増やそう!
株分けは、植物を健康に保ちながら増やせる便利な方法です。この記事では、株分けの基本から適した時期や手順、必要な道具、株分け後の管理までを詳しく解説しました。ここでは、各ポイントを振り返りながら、失敗を防ぎ、成功させるためのヒントを再確認しましょう。
株分けは、成長した株を分けることで植物を増やしつつ、株全体をリフレッシュさせる方法です。また、株の健康を維持し、育成環境を改善する役割もあります。
➡ 詳しくは株分けとは?|株分けの基本知識
株分けを成功させるには、正しい手順と道具の準備が欠かせません。スコップや剪定ばさみ、消毒用のアルコールなどを使い、切り口を清潔に保ちながら行いましょう。
➡ 詳しくは株分けの準備と必要な道具、株分けの手順とポイント
株分け後の植物はデリケートな状態です。適度な水やりや日陰での管理を徹底し、肥料は2~3週間後から少量ずつ与えましょう。また、よくある失敗や病気の原因を知り、対策を取ることが成功の鍵です。
➡ 詳しくは株分け後の管理方法|5つのポイント、株分けで失敗しやすいケースと対策

株分けを正しく行い、植物を健康に育てることで、美しいガーデンスペースを作りましょう。
次は、植物を増やす他の方法『挿し木の方法|初心者でも成功する植物の増やし方』について学びましょう!