
フェリシア・スプリングメルヘンについて

「フェリシア・スプリングメルヘン」は、キク科の植物で「フェリシア」という属に属します。主に南アフリカ原産で、鮮やかな青紫色の花が初夏に咲き、花壇や鉢植えで楽しめる可愛らしい花です。「スプリングメルヘン」という名称は観賞用としてその魅力を強調した品種名や商品名です。
一般的なフェリシアは、本州の暖地では多年草として扱われ、ホームセンターなどで苗を購入できる場合もあります。しかし、耐寒性が約2℃前後と低いため北海道では一年草扱いとなります。そのため、苗が流通することはほとんどなく、種から育てるのが一般的です。
「スプリングメルヘン」は、一季咲き(一度開花して終わる)の性質が強いものの、その短い開花期間に見せる鮮やかな青紫色の花は圧巻です。寒冷地特有の気候でどのように成長し、花を咲かせるのかを観察することも、育てる楽しみの一つと言えるでしょう。
北海道での種まきの時期は?

フェリシアは、本州では秋まきの花です。種まきから開花まで、なんと約4か月かかるんです。なんとも開花の待ち遠しい花ですね(笑)。
種袋には本州基準の種まき、開花期が記載されていますが、生育温度が2℃~15℃なら北海道でも育つはず…。と、いうことで挑戦してみる価値あり(•̀ᴗ•́)و
ただ、この花は手間がかかる割に開花期が短いため、本州でも種から育てる人は少ないと言われています。それならなおさら北海道で育てる人は、ほとんどいないのではないかと思います。
北海道の気候を考慮すると、5月下旬~6月中旬にかけて花が咲くのではないかと予想。なので、逆算して種まきの時期は2月下旬~3月上旬(室内育苗)頃が良さそう!ということでちょっと早いですが、2月4日に種まきしてみました。
これは楽しみすぎます!(≧▽≦)
準備するもの
■フェリシアの種
■種まき用土
■セルトレイ
■底面給水トレー(兼作業用トレー)
■ピンセット、爪楊枝
■霧吹き
■プラスチックレンゲ
■空き容器
種まきの手順
1. 土の準備2. 種まき
3. 置き場所
4. 発芽までの水やり
土の準備
種まき専用の用土を使い、底面給水でしっかり給水させてから種をまきます。給水には丸一日かけました。種まき用土は新品を使用しました。

種まき
フェリシアの種のパッケージには「発芽率70%」と記載されていますが、たいてい記載よりも発芽率は良い傾向にあるので、実際にはそれ以上の発芽が期待できそうです。


種はそこそこ大きく、爪楊枝の先を濡らしてセルトレイに一つずつ丁寧に置きました。フェリシアは好光性種子(発芽に光を必要とする種子)のため、土はかぶせませんでした。
置き場所
発芽適温は18℃~20℃となっています。日当たりの良い室内に設置したビニール温室で管理しています。昼間は前面のビニールカバーを開けて、通気を確保し、蒸れを防ぎます。

晴れた日の日中は、ストーブを切っても室温が25℃まで上がることもあります。夜間は前面のビニールカバーを閉めて昼夜の温度差をなるべく抑えるように管理しています。
ビニール温室の前面に付いているワイヤーネットは管理人の家の猫ちゃんズのいたずらや誤食防止対策のためです。100円ショップで調達してきました。
発芽までの水やり
パッケージには「乾かし気味に管理」と記載されています。種まき時に底面給水で湿らせた水分だけで発芽を待ち、追加の水やりは控えます。
種まきから5日目:発芽
パッケージには、7日~10日で発芽と記載されていましたが、それより少し早い5日で発芽し始めました\(^_^)/
写真1:発芽を助ける種の毛

フェリシアの種に見られる毛は、キク科植物に見られる「冠毛」のような「風によって種子を遠くまで飛ばす」のために特化した構造ではなく、発芽サポートや保護、定着が目的なんです。面白いですね!
写真2:双葉が顔を出す直前の様子

こちらはもう双葉が出そうですね。もしかしたら、こちらの種は、もう少し早く発芽していたのかもしれません。早く大きくなって欲しいです。
写真3:根毛が見える

植物の発芽の様子は、何度見ても心が躍りますね(´꒳`)
種まきから7日目:双葉
種まきから7日目には、ほぼすべての種から発芽し双葉が出揃いました!
📸フェリシアの双葉

パッケージには発芽率70%と記載されていましたが、実際には100個以上が発芽し、発芽率は80%以上 となりました。想定よりも発芽率が良く、順調な生育が期待できそうです♪
種まきから14日目:本葉&ポット上げ
種まきから14日が経ち、本葉が出てきました!思ったより成長が早いようです。
📸フェリシアの本葉

フェリシアは花付きが良い分、肥料を多く必要とするので、本葉が出た時点で培養土を入れたポリポットへ移植するのが良さそうです。双葉の段階でも移植可能ですが、最初からポリポットで育てても良さそうですね。(゜-゜)
9㎝のポリポットは場所を取るので、6㎝のポリポットにしました。
📸培養土をブレンド

フェリシアは乾かし気味に管理した方が良いですが、室内用培養土は水はけが良すぎるため、屋外用の培養土を混ぜて適度な保水性を持たせました。室内用培養土2:屋外用培養土1でブレンドしました。
📸フェリシアの移植作業

毎度おなじみ、木製のスプーンを使い、セルトレイの苗を土ごとすくって移植しました。
📸フェリシアの未熟な苗

同じ日に種まきしても、成長スピードに差が出ることがあります。これは種の健康状態や遺伝的多様性が関係しているため、ある程度は仕方がないところです。
📸フェリシアのポット上げ完了

移植が完了しました~\(^_^)/
ポット上げ完了後、水をたっぷり与えました。今後は、土が乾いたら水やり。土が乾いたら水やり。のメリハリをつけ、葉色や成長具合を見ながら液体肥料も与える予定です。
種まきから20日目:本葉の成長
2月23日、種まきから20日が経ちました。本葉がしっかりと成長し、次の本葉も出始めています。うさぎの耳のような形が可愛らしいですね。
📸フェリシアの本葉20日目

ほとんどの苗が同じように本葉がびよーんと伸びています。徒長しているように見えますが、フェリシアの葉はもともと細長く伸びる傾向があります。
フェリシアは肥料を多く必要とする植物です。しかし、室内育苗では肥料過多によって徒長しやすくなります。ただ、液体肥料はまだ一度しか与えておらず、日当たりも良好なため、これは正常な成長の可能性が高いと考えています。
現在は、用土がしっかり乾いてから水を与える方式を継続中。葉色が黄色くならないよう、液体肥料の頻度を調整しながら管理していきます。
種まきから30日目:さらに成長
3月4日。種まきから30日が経ちました。
📸30日目のフェリシアの苗

3月に入り、太陽の高さが変わったことで、温室の奥(室内側)に日が当たりにくい場所が出てきました。そのため、トレイの2/3の範囲に苗を配置し、できるだけ光が当たるように調整しています。
まだ気温が低いため、屋外への順化はもう少し先になりそうです。
📸良い状態のフェリシアの苗

種まきから40日目:順化開始
3月15日。全体的にボリュームが出てきました。
📸40日目の苗の状態

本葉がやや長く伸びているのが気になります。ただ、フェリシアの葉はもともと細長く成長しますし、葉の色も悪くないので、今のところは正常な範囲だと思います。
開花まではまだ時間がかかりますが、成長は思ったより早く順調です。6㎝ポットでは小さくなってきたので早く定植してあげたいです。ということで、そろそろ順化を開始することにしました。
📸順化を待っている苗たち

玄関フード内のビニール温室を置いて、天気の良い日の日中は、屋外で日光に当て、夜間は、玄関フード内のビニール温室に入れて前面のビニールカバーは閉めて保温しています。
📸玄関フード内ビニール温室に移動した苗たち

フェリシアの生育には、最低2℃必要ですが、玄関フード内のビニール温室なら、もう夜間に2℃を下回る日はなさそう。一応温度計も設置して様子を見ていました。
種まきから50日目:9㎝ポットに
📸屋外で日光浴中のフェリシアとその他の苗たち

葉っぱが少し黄色くなっています。もう、ポリポット内の肥料は、使い果たしているようです。まだ定植には早いので、9㎝ポットに植え替えてあげた方が良いですね。
📸左:9㎝ポット。右:6㎝ポットのフェリシア

📸6㎝ポットから抜いたフェリシアの苗

まだ完全な根詰まりではないですが、葉が黄色くなってきていることもあるし、まだ定植には時間がかかりそうなので、この時点で植え替えておくのが良さそうです。
📸9㎝ポットに植え替え完了

定植するまでは、このまま9㎝ポットで育苗します。気温を見ながら定植する日を待ちます。
種まきから70日目:定植
4月12日。例年よりも暖かくなるのが3週間くらい遅くなりましたが、この日から最高気温は15℃前後、最低気温は5℃前後になったので、フェリシアの苗が定植できる気温になりました。
順化開始した頃より葉色が良くなりました。
📸フェリシアの苗を定植

実際のところ、ここまで大きくなった苗だと、フェリシアの種に記載されている2℃以下でも、屋外で平気です。霜が降りても大丈夫でした。マイナス5℃くらいまでは耐えられる感じです。まあ、無理せず安全策を取った方が良さそうですけどね。
花が咲くまでまだ少し時間がかかりそうです。
📸定植後のプランターの配置

朝~お昼まで日が当たる場所に置きました。
このあと、葉っぱが黄色くなり始めたところがあったので、置き肥をしておいたら、濃い緑の葉に戻って一安心♪置き肥は100円ショップで買ったものです。
種まきから90日目:蕾
5月になりました。暖かくなったと思ったのに、また寒くなってゴールデンウィークが過ぎましたが、まだ蕾も出てきていません(-_-;)
フェリシア・スプリングメルヘンの生育温度は15℃となっていますが、日中15℃を超えている日もたくさんあります。でも、最低気温が5℃くらいの日や、10℃くらいの日もあり、そんな日は夜間さらに冷え込みます。
それでも、ゆっくりと少しずつ成長していて、葉っぱもたくさん出てきました。株もキュッと締まって、だいぶしっかりしてきました。
そして、5月20日頃になり、ようやく蕾が見え始めました!
📸濃い緑の葉としっかりした株に

開花までもう少し!蕾がたくさん付いているので楽しみです♪
📸蕾が見え始め、開花間近!

種まきから110日目:開花
6月10日。やっと1つ目が開花し始めました~\(^_^)/
📸待望の開花!青が鮮やか

青っ!!!(゚0゚*)
その後は次々と開花し始め、1週間で満開になりました!
📸ピンクの花も登場!

📸1週間後には満開に!

薄いピンクとブルーのコンビ。なかなか可愛いです♪
📸鉢植えのフェリシアは濃い紫も!

丸い鉢植えに植えたフェリシアは、少し濃い目の紫色も咲いていました。こちらも開花し始めて約1週間後には満開に♪
📸賑やかな花景色に!

花数が多くて賑やかですね!
裏庭(北側)の半日陰エリアにも植えておいたのですが、こちらも同時期に開花し始めました。木漏れ日が当たるような場所ですが、こちらはだいぶ優しい色味になっている感じ♪
📸半日陰では優しい色合いに

草取りが追い付かず、ごちゃついていますが、自然風の草姿が可愛らしいです(´꒳`)
開花期間
6月10日から徐々に開花し始め、7月1日には種ができていました。開花期間は1カ月弱くらいってところでした。
📸フェリシアの種子

フェリシア・スプリングメルヘンを種から育てた感想
種まきの時期について
フェリシア・スプリングメルヘンの種まきは初めてでしたが、種まきの時期はあと2週間くらい遅くても良かったかもしれません。ただ、年によって4月、5月の気温に差があるので、種まきの時期は正確には何とも言えないところです。まあ道東では2月中旬くらいなら問題ないんじゃないかなーと感じました。
種まきから開花まで
フェリシア・スプリングメルヘンは、種まきから開花まで4か月近くかかりました。これは一般的に知られている育苗期間とほぼ同じでした。
そして、種袋には「生育温度は2℃~15℃」と記載されており、15℃あれば開花するはずでしたが、実際には日中の気温が20℃を超える日が続いてようやく開花しました。北海道特有の昼夜の温度差が開花時期に影響を与えたのかもしれません。
日中は20℃を超えても、夜間の冷え込みにより植物がストレスを感じ、花芽の発達が遅れた可能性が考えられます。特に生育温度帯(2℃~15℃)から外れる急激な温度変化が、通常の成長サイクルを狂わせたのではないかと思います。
開花期間について
種袋には「開花期は2ヵ月くらい」のラインとなっていましたが、実際には1ヵ月弱で花が終わってしまいました。花期は、本州の秋まきなど、気温が穏やかな条件での想定と考えられるので、北海道特有の昼夜の温度差が、花の寿命に大きな影響を与えたのではないかと思います。
まとめ
手間がかかった割には開花期間が短く、正直、少し寂しいですね。でも、日当たりの良い場所に置いた鉢植えでは豪華さがあり、半日陰では優しい自然風の雰囲気がすごく良かったです。
開花までは待ち遠しかったけど、冬の間から楽しみをくれて、ありがとう♪
📸フェリシアの種まき、また挑戦したい!
