本州と北海道、ガーデニングの世界がこんなに違った!移住して気づいた庭スタイルの新たな可能性

イントロダクション用デザイン画像 こんにちは!道東在住のガーデナー、kikoriです。今回のコラムでは「本州と北海道のガーデニングスタイルの違い」をテーマにお届けします!同じ日本でもこんなに違うのかと驚いたことや、実際に体験して感じたことをお話しします。お好きな飲み物でも片手に、どうぞゆっくりしていってくださいね!

マリーゴールドとサルビアだけ?北海道の花壇事情

私が北海道に引っ越してきたのは5月下旬で、とても気候の良い時期でした。引っ越してから1ヵ月もしないうちに、町内はどこもマリーゴールドとサルビアでいっぱい!

マリーゴールドとサルビアが、円や四角、直線で植えられた花壇は、まるで色鮮やかな絨毯みたい!遠くから見るとその美しさが一層際立っている風景に感動したのをよく覚えています。

それと同時に、どこを見ても、同じ花をずらりと並べて植えるダイナミックなスタイルばかりで、「どうしてこの植え方ばかりなんだろう?」「なんで2種類だけなんだろう?」と、ただただ不思議に思いました。

鮮やかなオレンジと赤が織りなすマリーゴールドとサルビアの花壇。同じ花をずらりと並べた北海道ならではのダイナミックなスタイルです。※フリー画像(出典:写真AC)

本州では都市公園や一部の公共施設でこのような植え方を見かけることはありましたが、個人のお宅では、見たことがなかったからです。だからこそ、町内花壇から個人の庭まで、このスタイルが広く浸透していることに、すごく驚きました!

マリーゴールド、サルビアの他にもペチュニアも植えられていますが、ペチュニアを取り入れたのは、私の住んでいる地域では、ごく数年前のことです。そして、やはり円や四角の中に並べて植えるスタイルで、とにかく種類が少ないことが不思議だったんです。

「マリーゴールドとサルビアは、冷涼な北海道でも特別な手入れをせずとも夏の終わりまで花を咲かせ続けるため、北海道の短い夏には最適な花として広く取り入れられているのかもしれない…(゜_゜)」その時は、そんなことをぼんやりと考えていました。

けれども、だんだん「北海道ではなぜ、このような植え方しかしないのか?」「もっと色々な草花を植えないのか?」そんな疑問が次々に浮かび、もっと知りたくなるのがガーデナーの性(•̀ᴗ•́)و(笑)。

それには北海道ならではの理由が隠されているようです。

北海道ガーデニングは幾何学模様

あるとき、北海道では昔から「幾何学模様きかがくもように同じ花を並べて植えるのが一般的なスタイル」だと知った時、本当に驚きました。このスタイルは、町内花壇はもちろん、個人のお宅でも幾何学模様やそれに近い植え方が、今も一般的というか、根強くあるように感じます。

幾何学模様のスタイルが北海道で広まった背景には、寒冷地特有の事情があるようです。短い夏に花を楽しむためには、丈夫で手間がかからない花を効率よく植えることが重要だったのかもしれません。また、広い土地を活かしたデザインとして、幾何学模様が美しく映えるのも理由の一つなのではないでしょうか。

幾何学模様に整えられた北海道スタイルの花壇。鮮やかな色彩と整然としたデザインが目を引きます。※フリー画像(出典:写真AC)

幾何学模様の花壇は花いっぱいで、「これぞお花畑」という感じで、とってもメルヘンチック!フランス式庭園のような豪華さもありますね。まるでマリーアントワネットの世界観です(゚0゚*)

これには、北海道開拓期に外国人技師が都市設計や庭園デザインに携わった影響が関係している可能性も考えられます。特に明治時代には、ヨーロッパ式庭園のデザインが広まり、北海道の広い土地にぴったり合う幾何学模様の植え方が生まれたのかもしれません。

最初は、本州とのあまりの違いに、違和感と言うかなんというか不思議な感覚でいっぱいでしたが、今では毎年、自宅の庭のメイン花壇にも幾何学模様を取り入れ、「北海道らしい華やかさ」を楽しんでいます。リビングからの景色最高!(*^^)v

ただ、本州と違って北海道は四季がしっかりとあるのに、ゴールデンウィーク頃から秋まで、花壇がずっと同じ風景で、植えている花の種類が極端に少ないのは、「少しもったいないなあ」とも思いました。

とはいえ、このシンプルで整った美しさは、北海道ならではの魅力!短い夏だからこそ、幾何学模様の花壇がしっかりと輝くのかもしれませんね(^_-)-☆

さて、この記事をお読みになっている北海道ガーデナーの方々、「そんなに不思議なことなのか?」と、逆に不思議に思っているかもしれませんね(笑)。というわけで、本州のガーデニングスタイルについてもお話しますね!

本州はナチュラルガーデン

私が住んでいた本州でも、都市公園ではコスモス畑やひまわり畑、チューリップ園、薔薇園などはありました。都市公園では、北海道と同じく幾何学模様が一般的です。

でも、個人のお宅では、何十種類もの様々な草花が植えられています。100種類を超える草花を植えているガーデナーさんも、少なくはないと思います。つまり、寄せ植え的な植え方で、季節ごとに異なる風景(草花)を楽しむ、いわゆる「ナチュラルガーデンスタイル」(コテージガーデンスタイル)が多いのです。

小道を進むと、ベンチで一休みできる、心癒される多彩な草花のナチュラルガーデン。※イメージ画像(AI生成)

ナチュラルガーデンの魅力は、何と言っても季節ごとの変化です。

春にはチューリップやアネモネ、ラナンキュラス、マーガレット。
夏にはインパチェンスやブーゲンビリア、ハイビスカス、ゲラニウム、カリブラコア、ペチュニア。
秋にはコスモスやダリア、シクラメン、プリムラ。
冬にはノースポール、アリッサム、パンジー、葉ボタンなどが定番です。

クリスマス用の寄せ植えやお正月用の寄せ植えなども作って楽しんでいました。私が住んでいた地域は雪は降ることはあっても積雪は稀で、10数年に一度くらいなので、一年中、草花を楽しむことができるんです。

と、まあこんな風に庭全体が季節ごとに違う草花たちで、めまぐるしく違う表情を見せてくれるんですよね。植え方も、自然に生えている風(ナチュラル風)なんです。本州に住んでいた頃、近所のガーデナーさんが、まるで絵画のように彩られた庭を作っていて、見ているだけで心がウキウキしたものです。

さらに、花を植えるだけでなく、「庭づくりを楽しむスタイル」なんです。例えば、フェンスにガーデンオブジェを飾ったり、アーチにバラを絡ませてロマンチックな雰囲気を作ったり、小道やビオトープを加えて、散歩ができる庭に仕上げる方もいました。パーゴラの下にベンチやテーブルを置いて家族やペットとお茶を楽しんだり、バーベキューコンロなんかも定番で、第二のリビングみたいな感覚で庭を作る方も多いですね。

私は、恥ずかしながら「これが全国的に一般的なガーデニングスタイル=庭づくり」だと思っていました。でも、北海道に来てみると、ナチュラルガーデンを作っている方は少数派のようです。そもそも、植えられている草花の種類が圧倒的に少ないんです。園芸店に並ぶ草花も限られていて、本州と比べると選択肢がかなり少ない印象です。( ノД`)シクシク…

その理由の一つは、やはり気候の違いでしょう。北海道は冷涼な気候のため、越冬できる草花が限られています。また、積雪や除雪の影響でパーゴラやウッドデッキ、フェンスなどの設置を懸念する方が多いのかもしれません。そういった理由から、ナチュラルガーデンの普及がしづらいのかもしれませんね。それと同時に、幾何学模様のスタイルが北海道で根強く残っていることも大きな理由ではないでしょうか。

んー、同じ日本なのに、こんなに違うなんて、ものすごく面白いですよね!

そして、実際に北海道のガーデニング文化に触れてみると、さらに驚く体験がありました。それは、とある「不思議?な会話」です…。

不思議?な会話に驚いた!「当たり前」の違い

私の住んでいる北海道・道東町内では、毎年、町内の花壇を地域の人たちで飾る「町内花壇に花を植える活動」があります。住民が集まり、みんなで意見を出し合いながら花壇を作る楽しいイベントです。

この活動に参加した際、「どのように植えます?」と聞かれて、寄せ植え的な植え方を提案したところ、「へ~。斬新な植え方ですね~。へ~。」と、かなり驚かれました!

これはなんと面白い会話でしょう!私自身、驚かれるとは全く思っていなかったので、返事に困り、鳩が豆鉄砲をくらったかのようにしばらく固まってしまいました(笑)。

北海道では、同じ花をずらりと並べる幾何学模様のスタイルが一般的だからでしょうか。寄せ植えという発想そのものが新鮮だったのかもしれません。同じ日本なのに、こうも違うなんて本当に面白いですよね!

ご近所さんにも、「kikoriさんの家の庭は、ガーデン?ガーデンですねぇ」と、どう表現して良いのか分からない様子で言われたことがありました。

また別の方(男性)からは、「ちょっと感動したわ、うちもこんな感じにしたいんだよね~」と言われて、なんだか嬉しかったです。「あ、ナチュラルガーデンに興味はあるんだな」と感じた瞬間でした。

他にも一年草をたくさん植えて庭を彩るスタイルを続けているお爺さんガーデナーさんから「え?これ越冬したの?へー、色々あるんだねぇ」と、驚かれたこともありましたね。これも、一年草をメインに植えるスタイルが根強い北海道ならではの会話だったのかもしれません。

そして「芝桜」についても面白い会話がありました。北海道では「派手な色を目立つように植える」というスタイル、イメージが一般的ですよね。でも、私は他の植物とのバランスを考えて、薄い色合いの芝桜「オーキントンブルーアイ」をチョイスしたんです。(近場で売っていなかったのでネットで購入したものです)

私にとってはごく当たり前の選択だったのですが、お散歩中の方から「あら、この芝桜は色が薄いのね」と言われました。優しい色合いの芝桜は珍しく見えたのかもしれません。これも北海道と本州の「当たり前の基準」が異なる面白い会話だったなあと思います。

そんな中、私がもう一つ印象に残っているのは、動物に関する会話です。

自然との関わり方|動植物への理解に感動した瞬間

私は動物も大好きなのですが、町内のマツの木を切るという話が出た時、住民の方の一人(こちらも男性)が、「えー、あそこはリスが遊んでるよ?マツ、切ったらかわいそうじゃない?少し切るだけにしたら?」と言われたのです。

この一言を聞いて、以前からなんとなく感じていた「自然そのものを大切にする道民性」が改めて伝わってきました。

正直、「え!?こんな強面のおじさんがそんな事、言ってくれるの!?」と、ビックリしましたが、野生動物への理解があることに嬉しさと感動で胸がいっぱいになり、泣きそうになったくらいです。

北海道全土で「自然を大切にする」という考え方が根付いているのか、男性も普通に庭づくりに興味を持っていたり、多くの方が自然を大切にする気持ちを、ごく普通に、というか当たり前の感覚として持っているように感じます。

家庭菜園や農業、そして大自然が身近にある環境が、こうした考え方に影響を与え、動植物への優しさを育んでいるのだと感じました。この地に住んでいることが本当に嬉しく、誇らしく思える瞬間でした。

これらの会話をきっかけに、北海道のガーデニングには「もっと多くの可能性があるのではないか」「もっと多様なガーデニングスタイルに挑戦できるのではないか」そんな思いが湧いてきました。

さらに、「ナチュラルガーデンにしたい」という需要が本当はもっとあるのではないかとも感じています。ただ、その需要があっても、どうすればよいのか分からない方が多いのではないかとも思いました。

そういった想いから「北海道にもガーデニングの可能性を広げたい」という気持ちが強くなってきたんです!

北海道にもガーデニングの可能性を広げたい

北海道に移り住んで、本州とのガーデニングスタイルの違いに驚きつつ、さらに季節の移り変わり方も本州と全然違うことにも驚きと感動を覚えました。

北海道は、それぞれの季節が少しずつ少しづつ、本当にゆっくり進みますよね。この穏やかな季節の移り変わりは、四季をしっかりと楽しむことができるだけでなく、自然と向き合う時間をじっくりと育んでくれます。

一方、本州では、徐々にではなく、急にパッと季節が変わる感じです。(あくまで私が住んでいた地域しか知らないけど…!)

春は4月いっぱいであっという間に過ぎ、ゴールデンウィークにはもう半袖。夏が長く、10月を過ぎてもまだ暑い日が続きます。そして、秋は1ヵ月くらいしかなくて、あっという間に冬がやってくるんです。だから、「本州のガーデニングは結構忙しかったな~」と、北海道に来てから改めて感じています。

北海道はゴールデンウィークを過ぎた頃からようやく少し暖かくなり始め、外での作業がしやすくなりますね。そして6月の終わり頃には暑くなり、短い夏に一気に植物が成長する感じ。これもまた忙しいですが、北海道ならではの特徴を感じて楽しんでいます。幾何学模様のシンプルでダイナミックな植え方には、そんな北海道らしさがぎゅっと詰まっているように思います。

でも、「それだけじゃもったいない!」北海道でもナチュラルガーデンに挑戦する価値は十分にあると思っています。当ブログで紹介している植物を見ても、意外と北海道でも育てられる植物は多いんです。第一回目のコラムでもお話した通り、むしろ、ガーデニングに最適な環境だと感じています。
➡ 第一回目のコラム「北海道はガーデニングに最適な環境かもしれない

私は、北海道にもガーデニングの可能性を広げたいんです!

例えば、本州と北海道のスタイルを統合してみると、もっと新しい楽しみ方が見えてくるはずです。幾何学模様の整然とした美しさに、ナチュラルガーデンの柔らかさや自由さを組み合わせることで、個性的で魅力的な庭が作れるのではないでしょうか?

実際に、私の南側の庭では幾何学模様とナチュラルガーデンの両方を取り入れています。例えば、幾何学模様の部分は、毎年その草花の種類は変更していますが、マリーゴールド、サルビア、スイートアリッサムなどの一年草を植えてフォーカルポイントとしています。

北海道で庭づくりを始めたばかりの頃に撮影したものです。手前の幾何学模様の花壇と、奥に広がるナチュラルガーデンを組み合わせた、進行中の庭の様子です。まだまだ発展途中で恥ずかしいですが…(*ノωノ) ※管理人撮影(自宅の庭)

そして、その幾何学模様の花壇の後方には、ナチュラルガーデンを配置しています。耐寒性のある多年草(ヒソップやラムズイヤーなど)と低木(コハウチワカエデやムクゲなど)を組み合わせることで、どちらの魅力も引き立つよう工夫し、自分なりのスタイルを楽しんでいます。

このスタイル、実は全国的にもかなり珍しいんです。本州から北海道に移住したからこそ生まれた、貴重な発想だと思います。(自分で言うのも何ですが…!)

同じ庭の中で、整然とした美しさと自然な柔らかさ、その両方を楽しめるのは、本当に贅沢なことですね…。

普通はどちらかのスタイルに魅せられて、それを採用する人が多いですよね。でも私は、どちらのスタイルも好きになったから、自然と両方を取り入れてみただけなんです。何か新しいことを発見しようと意識していたわけではないんですけど、結果的にこうなりました(笑)。でも、このミックスが思った以上に面白くて、北海道の庭づくりにも新たな可能性があるのでは?と感じるようになったんです。

この新しいガーデニングスタイルが生まれた詳しい経緯や、どのように作っているのかについては、また別の記事で詳しくお話ししたいと思います。

北海道のガーデニングには、まだまだ多くの可能性が秘められています。これからも試行錯誤しながら、日々研究を重ね、少しずつその魅力を自分の庭から発信していきたいと思います!