【北海道で出会う帰化植物】フランスギク|野生化した白い花のたくましさ

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イントロダクション用デザイン画像 北海道で庭づくりをする中で出会った帰化植物。そのひとつに「フランスギク」があります。今回は、フランスギクを例に、外来生物・帰化植物・特定外来生物の違いを整理しつつ、こうした植物とどう向き合うかを改めて考えてみました。
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フランスギクとの出会い|庭に咲いていた白い花

6月中旬。南側の庭に咲く白い花(のちにフランスギクと判明)。※管理人撮影(自宅の庭)

「私が北海道で庭づくりを始めたころ、庭は、”砂利”と、いわゆる“雑草”だらけの状態でした。
マツヨイグサやギシギシ、アシ、アザミなど、トゲのある植物や背の高いもの多く、手を入れるには少し勇気がいるような状態でした。

一般的に、こうした植物は雑草と呼ばれますが、私はできるだけ“雑草”も大切にしながら庭づくりをしています。
ただ、増えすぎることもあるため、そうした場合は間引いたり、ケガの恐れがあるものは抜いたりしています。

そうして、少しずつ庭を整備していくなかで、マーガレットに似た白い花を見つけました。これが最初の出会いです。

「あら~。こんな砂利だらけの場所に、こんなに可愛い花が咲いてるなんて。すごいな~」と思い、そのまま残していました。

名前と出自|フランスギクという帰化植物

私は、この白い花の見た目から、数年間は「マーガレット」だと思っていたのですが、ふと気になって調べてみると、「フランスギク」という帰化植物だったのです。

フランスギクはヨーロッパ原産の多年草です。
「園芸種」として品種改良されたものではなく、野草的な原種に近い姿のまま、明治期以降に観賞用として導入されました。
その後、各地で定着・野生化したとされる外来植物です。

特に北海道では広範囲に帰化しており、道路脇や空き地、草地などでその姿が見られるとされています。

帰化植物とは、国内外からやってきて、その土地に定着した植物のことです。
ただ、この言葉には、時に“外来種だから抜くべき”というような否定的なニュアンスが含まれることもあります。

そこで一度、こうした言葉が実際に何を指しているのかを整理しておきたいと思います。

外来生物・帰化植物・特定外来生物|定義と違い

フランスギクのように、国内外からやってきた植物が野生化している例は少なくありません。

そうした植物は、一般に「外来生物(外来種)」や「帰化植物」と呼ばれます。

「外来生物」という言葉は、ここ十数年で一般にも広く知られるようになりましたが、その定義や範囲については、まだ十分に知られていないのが実情です。

外来生物とは、もともとその地域に生息・生育していなかった生物が、人間の活動によって他の地域から持ち込まれ、定着したもの全般を指します。
対象は植物だけでなく、動物、昆虫、魚類、菌類など多岐にわたります。

こうした外来生物は、原種に限らず、人の暮らしの中で親しまれてきた植物も少なくありません。
例えば、パンジーやペチュニア、マリーゴールドなど、栽培を通じて広まった外国原産の園芸品種も「外来生物」です。

また、「帰化植物」という言葉は、外来植物の中でも、特に野外に定着して繁殖するようになった植物を指す呼び方です。つまり、「帰化植物」は「外来生物」の一部に含まれる用語であり、植物に限定された表現となります。

外来生物のうち、在来の生態系や農業・人の健康などに悪影響を及ぼすおそれがあるものは、「特定外来生物」に指定され、飼育・栽培・運搬・譲渡・販売などが法律で禁止されています。

つまり、「外来生物」といっても、すべてが「危険」だったり、育ててはいけないわけではありません。「どう定着しているか」「どの程度の影響を及ぼすか」によって扱いが異なるということです。

フランスギクは、外来生物ではありますが、「特定外来生物」には指定されておらず、すぐに駆除しなければいけないような植物ではありません。
ただ、「帰化して広がっている」という事実を知ったうえで、どう向き合うかは人それぞれだと思います。

まとめ|植物としての魅力と管理人の向き合い方

私は、この花が庭に咲いていた当時、帰化植物とは知らず、ただ「きれいだな」「残したいな」と思っただけでした。

フランスギクという名前や、帰化植物であることを知ってからも、その印象が大きく変わることはありませんでした。

「外来生物」と聞くと、“どんどん広がる” というイメージを持たれがちです。
しかし、我が家の場合は、3株が点々としていて、爆発的に増えるとか、毎年少しずつ増えるというようなことも、今のところありません。
最初にあった3株のままで、それぞれの株が少し大きくなったくらいです。

現在、砂利はある程度取り除いて土壌改良も進めていますが、それでも最初、こんなに砂利だらけの土地に”帰化”したたくましさを考えると、とても抜く気にはなれませんでした。

というわけで、私はこの3株を、庭に「いてもらう」ことにしたのです。

フランスギクは、決して派手さはないのに、目を引きます。

背丈がそこそこあり、風に揺れる――そんな佇まいは、他の植物ともバッティングせず、かといって埋もれることもなく、ちょうどいい距離感で庭にいてくれています。

フランスギクとラムズイヤー、ブルックサイド、ジニアなどの植物とナチュラルに調和しています。※管理人撮影(自宅の庭)

花そのものは、清楚な雰囲気ですが、それでいてどこか “野生っぽさ” が残っているのも気に入っているところです。

もちろん、名前を知らなくても、植物を愛すること、育てることはできますし、むしろ名前は重要ではないと私は思っています。

それでも、帰化植物が多くなっている今の時代、名前を知っておくことも、ガーデナーとしての大切な役割ではないでしょうか。それもまた、植物との向き合い方のひとつだと思います。

帰化植物だからダメだとか、雑草だから抜くとかではなく、個々の個性を見極めたうえで、上手に付き合っていければ、地球にも植物にも優しいと思います。

フランスギクは、発見当初から同じ場所でずっと管理しています。
毎年6月になると白い花を咲かせ、その花を見るたび、なんだか庭の原点に返ったような気がして、今でも特別な存在です。

これからも庭づくりをしていく中で、また帰化植物に出会うことがあるかもしれません。その時は、自分なりの向き合い方で、植物と共生していけたらと思っています。

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