
北海道のガーデニングが「難しい」と思われる理由
私が北海道に引っ越してきて、花苗屋さんへ行ったときのことです。北海道は、本州に比べると、ホームセンターなどで入手できる草花の種類がかなり少ないと感じました。もちろん、色々な苗は売っていますが、ガーデニングをとことん楽しみたいガーデナーにとっては、少し物足りない…。
本州では当たり前に売られていた花苗が、こちらではなかなか見つからないんです!
例えば、私が本州で大好きで育てていた「ポーチュラカ」「マツバギク」「マツバボタン」など。夏の代表的な花たちが、北海道の花苗屋さんでは売られていません。地元の花苗屋さんに聞いても、「取り寄せもできない(リストにない)」と言われてしまいました…。
実際には、これらの花も北海道で育てることは可能なのですが、「市場に出回らない=手に入りにくい」という点が、北海道のガーデニングを難しくしている要因のひとつだと感じました。
他にも、北海道のガーデニングを難しく感じる要素として、以下のような点が挙げられます。
- 夏の花期が短く、販売するメリットが少ない
- 夏の気温が低く、十分に育たないと考えられている
- 本州と違い、冬越しが大変そう
- 売られている苗が寒冷地向きか分からない
- 売っている植物の種類が少ない
- SNSや雑誌の情報が本州ベースなので参考にならない
- 北海道では多様なガーデンスタイルが少ない
こうした理由から、「北海道のガーデニングは難しい」と思われがちですが、実はそんなことはありません!
むしろ、北海道ならではの楽しみ方がたくさんあるんです!(•̀ᴗ•́)و
「北海道だからこそ」ガーデニングが楽しめるワケ
実は、私自身も最初は「北海道でのガーデニングは難しいかも…」と思っていました。しかし、実際に北海道で植物を育ててみると、「本州よりラクなこともある」「むしろ北海道の方が向いている植物も多い」など、驚くほどたくさんの発見があったんです。
✔️ 冷涼で乾燥しているから病害虫が少ない
北海道では、本州のように暑さや蒸れで植物が弱ることが少なく、じめじめした環境も少ないため、害虫も発生しにくいです。
✔️ 北海道向きの植物が、ぐんぐん育つ!
フロックスやクレマチス、ラベンダー、インパチェンスなどは、北海道の気候がぴったりなため、本州より大きく育ったり、花付きが良くなる場合があります。
また、ギボウシ(ホスタ)は、厳しい冬を耐え抜き、暑さが苦手なため、北海道でこそ生命力溢れる美しさを発揮する植物です。
✔️ 秋の紅葉が美しい
北海道では日中と夜の寒暖差が大きいことで、本州より鮮やかに色づき、より美しい紅葉が楽しめます。コハウチワカエデやヤマボウシなどの雑木系樹木は、特におすすめです。
✔️ 高温多湿に弱い植物がよく育つ
本州で多く育てられている「高温多湿に弱い植物」は、実は、暑すぎない夏と乾燥した気候の北海道の方が圧倒的に育てやすいんです!
デルフィニウムなど本州では夏の蒸れで弱りやすい植物は、北海道ではその心配がなく、むしろ多年草としてとても元気に育ちます。
また、パンジーやビオラも本州では夏前に枯れることが多く一年草扱いされますが、北海道では夏越し・冬越しが可能で多年草として育てることができます。
✔️ 寒冷地ならではの植物が育てられる
エーデルワイスやオダマキ、ルピナスなど、本州では夏越しや冬越しが難しい植物が圧倒的に育てやすいです。特にオダマキは、こぼれ種で増えやすく、自然に増えてくれるのも魅力です!
また、コロラドトウヒ系のコニファーも、本州では暑くてうまく育たない場合が多いのですが、涼しい気候が適しているため、寒冷地ならではの自然な景色が楽しめます。
✔️ 雨が少なく梅雨が無いから花が長持ちする
北海道は雨が少なく梅雨もないので、花が蒸れたり、傷んだりする心配が少ないのも魅力のひとつです。チューリップは長く楽しめるし、ペチュニアも雨による傷みが少なく、きれいな状態が続きます。
✔️ 「とりあえず植えてみる」ことで、新しい発見がある
北海道では、「育ててみたい植物を、まずは植えてみることが大事」です。そうすることで、庭づくりの新しい楽しみ方を見つけることができます。
🌼 いかがでしょうか?北海道のガーデニング、実は難しいどころか、意外にも簡単で、楽しめる要素がたくさんあるんです!
次は、北海道ならではのガーデニングをより満喫するために、「寒冷地の花苗屋さん選びのコツ」についてお話ししますね。
寒冷地ガーデナーのための花苗屋さん選びのコツ
寒冷地で庭づくりをするなら、苗をどこで買うかがとても大切です。おすすめなのは、「地元の花苗屋さん」か、「寒冷地で育てられた苗を取り扱うネットショップ」です。
寒冷地の花苗屋さんでは、「寒さに強い宿根草」や庭に取り入れやすい「低木」を中心に仕入れています。特に、地元で生産された苗は、その地域の気候に適応しやすく、購入後もスムーズに育つことが多いのが特徴です。
ただ、地元の花苗屋さんでは扱っている植物の種類が限られていることもあります。そこでおすすめなのが、ネットショップの活用です。
「寒冷地で育てられた苗を取り扱うネットショップ」なら、寒冷地に適した植物が驚くほど豊富に揃っています。定番のものはもちろん、珍しい植物も見つかることがあり、見ているだけでも楽しくなります♪
私が寒冷地向けのネットショップをおすすめする理由はもうひとつあります。
実は、本州(暖地)のネットショップから苗を取り寄せると、気温差で弱ったり枯れたりすることがあるんです。
私は本州でマルベリー(桑の仲間)を育てていて、とても気に入っていました。でも、北海道の花苗屋さんや寒冷地向けのネットショップでは苗木が見つからず、関東のネットショップから5月半ばに購入しました。

関東の5月半ばは、すでに夏のように暑い日もあります。しかし、私の住む北海道道東では、まだ寒い日が続いていました。そのため、マルベリーは届いてすぐに落葉し始め、1ヵ月後には完全に葉を落としてしまったのです。
「枯れてしまった!」と心配しましたが、気温が高くなるにつれ徐々に葉が出始め、無事に復活。一安心でした。
ただ、この気温差のリスクは承知していたので、最初は「暖かくなってから買おう」と思っていたんです。でも、その年はタイミングを逃して売り切れに…。そこで翌年、少し早めに購入した結果、このような現象が起きてしまいました。
実は、マルベリーのように耐寒性がある植物でも、北海道の寒さに慣れていない苗を購入すると、環境の変化で葉を落としたり、一時的に弱ることがあります。
特に、本州の暖地で育てられた苗は、すでに暖かい環境で生長しているため、北海道の寒さとのギャップに耐えられずダメージを受けやすくなるのです。
こうした現象が起きると、最悪の場合、そのまま枯れてしまうこともあります。マルベリーは強健だったので無事でしたが、すべての植物がこのように回復するとは限りません。
このリスクを避けるためにも、できるだけ地元の苗屋さんや、寒冷地で育てられた苗を取り扱うネットショップを活用するのがおすすめです。
意外と育つ!北海道ガーデニングの現状と開拓
地元の花苗屋さんや、ネットショップを利用する際、宿根草や多年草は、「耐寒温度」を見て購入しますよね。でも、私は「この植物、本当に育つのかな?」そう思うことがよくあります。実際に植えてみないと分からないからです。
自宅の庭でお花見がしたくて購入した「旭山桜」は、最終樹高2mほどの小型の桜です。耐寒温度の記載はなく、栽培適地が「北海道~九州」とあったため、「道東でも育つかもしれない!」と思い植えてみたところ、幸いにも越冬・夏越しに成功し、今のところ順調に生育しています。
実は、旭山桜はエドヒガン系の品種とされており、エドヒガンは一般的に-20℃程度の耐寒性があると言われています。そのため、旭山桜もおそらく-15℃~-20℃程度の耐寒性があると考えられますが、明確なデータは確認できていません。
まだ小さいですが、いつか庭で満開の花を楽しめたらいいなと思っています。(´꒳`)

北海道では、旭山桜のように、植えてみるまで分からない植物が多いのですが、挑戦してみることで、実は「意外と育つんだ!」という発見も少なくありません。
もちろん、誰でも失敗は避けたいと思うものです。しかし、第二回目のコラムでもお話したように、まだまだ開拓の余地があるのが、北海道ガーデニングの現実なのです。そう考えると、北海道ガーデニングは「難しい」と言えるかもしれません。
➡ 第二回目のコラム「本州と北海道、ガーデニングの世界がこんなに違った!移住して気づいた庭スタイルの新たな可能性」
ガーデニングはそもそも、試行錯誤がつきものの世界です。
「思い通りにいかないことを楽しめるか」
「育てる過程そのものにワクワクできるか」
「うまくいかなくても、じゃあ次はこうしてみよう!と思えるか」
これこそが、長く楽しめるかどうかの分かれ道なのです。
だからこそ、「とりあえず植えてみる!」という姿勢が、北海道ガーデニングではとても大切なのです。
北海道で出会った素敵なガーデナーさんたち
私が北海道に来てから、花を植えることが好きなおばあちゃんたちと、たくさん出会いました。「北海道って、植物を愛する方が多いな~」という印象を受けました。
みなさん、とても気さくで、「これ、植えてみる?あげるよ。持っていきな。」と、色々な花を分けてくださいます。

「すぐ付くよ~」と言って、夏にこんなに大きなムクゲの苗木をいただきました。本当にすぐ根付いてくれて、その年の秋には開花しました!
現在、私が育てている「ムクゲ(桃)」「スタペリア」「マツバギク」は、ご近所さんに分けていただいたものです。ムクゲは本州では北海道ほどメジャーではなかったので、育てたことがなく、ハイビスカスに似た花がとっても気に入りました!
スタペリアとマツバギクは、「本州に旅行へ行ったときに買ったの。こんなの見たことが無いから買ってみたの。名前は忘れたけど。」と、おっしゃっていたました。
マツバギクは本州では当たり前に見られますが、北海道ではやっぱりなかなかお目にかかれないんでしょうね。私としては、とても不思議な感覚ですね(;’∀’)
スタペリアは、品種にもよりますが、本州でもホームセンターではあまり見かけません。ネットやイベント、露店などでは見られることがあり、少し珍しい部類です。さすが!おばあちゃんガーデナーさん。お目が高い!(≧▽≦)

スタペリアは、夏の間は地植えにして、秋には鉢上げして、冬の間、リビングで育てています。
そして実は、ポーチュラカ(夏チュラカ)だけは、7月末頃だったか、ホームセンターにハンギングで売ってあったんです。
「あったーーー!!!(•̀ᴗ•́)و」と、思わず小さく叫んでしまいました(笑)。

もちろん、即購入して(笑)、冬の間は室内のビニール温室でマツバギクと一緒に管理しています。

庭づくりは、植物だけでなく人とのつながりも生まれるものなんだなあと、北海道に来て改めて感じました。
「この花はね…」と楽しそうに話してくださるおばあちゃんの言葉は、どんな育て方の本よりも価値のある知恵だと感じます。ありがたや、ありがたや。本当に感謝するばかりです。
北海道ガーデニングは難しい?固定概念を見直そう
北海道や寒冷地のガーデニングは「難しい」と思われがちですが、実際に庭づくりをしてみると、楽しめる要素がたくさんあります。
よく「寒冷地でも」「北海道でも」といった表現が使われますが、これらはまるで寒冷地のガーデニングが難しいかのような印象を与えます。でも、私はそうではなく、むしろ「寒冷地だからこそ」「北海道だからこそ」と考えるようにしています。
なぜなら、一般的なガーデニング情報は本州の気候を基準に作られていますが、北海道のほうがむしろ育てやすい植物も多く、「難しい」と思われがちな庭づくりも、実はそうではないと感じる場面がたくさんあるからです。
寒冷地だからといって、決してマイナスイメージを持つ必要はないんです!
寒冷地だからこそ楽しめる庭づくりがあり、北海道ならではの魅力を活かした庭づくりの可能性は広がっています。
北海道のユニークな環境を味方につけながら、もっと自由に、もっと気軽に、北海道ガーデニングを楽しんでいきましょう!