
本当にひどい場所?まずは視点を変えてみる
私が北海道でガーデニングを再開したとき、まず手をつけたのは通りに面した場所でした。「ここに草花を植えたら、道行く人も楽しんでくれるかも!」とワクワクしながら、どんな植物を植えようか考えていました。
でも、引っ越す前から気づいていたことが現実に…。
「北海道って砂利が多い!」Σ(゚д゚lll)
最初は土壌改良をして植えたい植物を植えるつもりでしたが…。
この場所の条件
✅ 地面は砂利と砂で構成されているため、栄養が乏しく「やせた土地」です。
✅ 幅50cm弱・長さ14mの細長い平坦な土地です。
✅ この平坦な部分の終わりから急に角度がつき、急斜面へと変わります。その急斜面の先には用水路が流れています。
✅ 全体的にアシ(ヨシ)が群生し、放っておくと2mほどに成長します。
✅ ほぼ真南に位置し東西からも日が当たるため、乾燥がひどい場所です。
これらの悪条件が重なった「ひどい場所」。しかも狭くて作業がしづらく、大がかりな改良は難しい…。
「どうすればいいのか?」
ガーデナーの意地?(笑)
幅は狭いけど、せっかく14mもの長い距離を、このままにしておくわけにはいきません(•̀ᴗ•́)و
急斜面にだって何か植えられるはず!
そこで、
🔹 「この場所は本当にひどい場所なのか?」
🔹 「なぜダメだと決めつけてしまったのか?」
🔹 「この場所が、むしろ強みになることはないか?」
…と視点を変えてみることにしたんです。そうすることで、今まで気づかなかった可能性が見えてきます!
あなたの庭にも、思い込みで「ダメだ」と決めつけている場所はありませんか?(・ω・)
発想次第で可能性が大きく広がる
一般的には私の土地のような環境は、「植物が育たない」と考えられがちです。でも、発想を転換すれば、この環境を活かす方法はいくらでもあります!
✅ 砂利と砂が多く土地が瘦せている(栄養不足)
💡 肥料をあまり必要とせず、やせ地でも育つ植物を選ぶ。
💡 ルピナス、アルメリア、チャイブ、カワラナデシコ、芝桜、耐寒性マツバギク、ユーフォルビア、耐寒性多肉植物などがおすすめ。これらの多年草・宿根草は、やせ地で育ち、北海道のような寒冷地で越冬できる耐寒性を備えています。
💡 一年草では、コスモス、カリフォルニアポピー(ハナビシソウ)が、おすすめ。どちらもやせ地で育ち、毎年こぼれ種で発芽します。
✅ 幅50cm弱・長さ14mの細長い平坦な土地
💡 通路と植栽スペースを半々にして、狭い場所でも植栽を楽しみつつ歩くスペースを確保。
💡 14mの長さを活かし、通路を曲線にします。まっすぐな通路よりも視線が遠くに流れるため、実際より広く感じさせる効果や、歩く楽しみを生み出すことができます。
💡 芝桜やアルメリアなど、成長が遅めで手間の少ない植物で狭い植栽スペースを埋め、手入れしにくい環境をカバーします。
✅ 急に角度がつく急斜面
💡 耐寒性マツバギク(デロスペルマ属)が最適。
💡 北海道の斜面には芝桜が定番ですが、夏から秋まで咲く耐寒性マツバギク(レイコウ、砂漠の宝石など)を植えると、より長く花を楽しめるうえ個性的な景観が作れます。芝桜より成長が早いので、広い斜面にピッタリ!
💡 やせ地でも育つ植物を組み合わせて植栽すると、春から秋まで変化を楽しめます。
💡 大きめの石を配置してロックガーデンとして活用すると土留めにもなり一石二鳥!
💡 ブロックなどを階段状に埋め込み、斜面を降りやすくすることで、手入れの負担を減らせます。
✅ アシ(ヨシ)が群生し、放っておくと2mほどに成長する
💡 根こそぎ抜くのが大変な雑草を、景観の一部として活かす。
💡 植栽計画次第で、抜かずにナチュラルガーデンに!
✅ ほぼ真南に位置し、東西からも日が当たるため乾燥がひどい
💡 乾燥に強く耐寒性の高いユーフォルビアや多肉植物を植栽して、最近流行のドライガーデンに!
💡 ユーフォルビアは「ポリクロマ」「ミルシニテス」などを選べば、北海道での越冬も問題なし!
💡 多肉植物は「ゴールドナゲット」「オデッティー」などを選べば、北海道での越冬も問題なし!
このように、一見すると悪条件ばかりで、大きな改良が難しい場合でも、「自分の庭の環境を活かす発想」を持つことで、他とは違う、個性的で面白い庭をつくることができます。
環境に合った植物を選べば、植物たちも快適に育ち、手間もかかりません。美しく育つことで、庭づくりがより楽しくなります!
ひどい場所を活かす発想の転換
さて、私の庭以外でも、様々な悪条件と取れるような環境は存在しますよね。
例えば、「水はけが悪い土壌」「風が強い場所」「日陰」「雨が落ちる場所」「西日しか当たらない場所」なども、一般的には「ひどい場所」と考えられがちですが、これらの特徴を活かせば、むしろ魅力的な庭づくりができます。
また、「北海道はガーデニングに不向き」と言われることもありますが、実際は耐寒性の高い多年草・宿根草は豊富で、本州の高温多湿環境では上手く育たない植物が北海道の冷涼で乾燥した気候では手間なく美しく育つ場合も多いのです。「寒冷地だからこそ楽しめる美しい庭づくりができる」のも、大きな魅力です。
つまり、「ここが悪い」と考えるのではなく、「この条件をどう活かせるか?」と発想を転換すれば、デメリットはメリットに変わります。視点を変えるだけで、環境を自分にとって、また植物にとっても都合の良いものにできるんです!
一般的には「ひどい場所」と考えられる場所の活用法と適した植物をご紹介しますね。今回は北海道で育つ植物を例に挙げていますが、発想のヒントとしてどの地域でもお役に立てると思います。
水はけが悪い土壌
💡 水はけが悪い場所は、湿地向きの植物を植えることで、根腐れしにくく、むしろ生育しやすくなります。(腐葉土を混ぜるなど、多少の土壌改良は必要)
- やや湿った土壌~湿地(湿気はあるが水没しない場所):クサレダマ、エゾノシシウドなど
- 湿地(水がたまりやすい、雨の後に長く湿る場所):ミズバショウやリュウキンカなど
- 水が不足する場合は、あえて防水シートを埋めて水が逃げにくい環境を作るのも一つの方法です。
風が強い場所
💡 風が強い場所では、風の流れを生かした庭づくりがおすすめです。耐風性のある植物を植えることで、風になびくダイナミックな景観が楽しめます。
- ヤナギランやオカトラノオ、エゾミソハギなど
日陰
💡 日陰には、耐陰性のある植物を植えれば、シェードガーデンとして活かすことができます。
- 暗い日陰(直射日光がほぼ当たらない場所):ギボウシ、イワヤツデなど
- 明るい日陰(朝日や夕日が少し入る程度の場所):ヒューケラ、オダマキ、アネモネ・シルベストリスなど
雨が落ちる場所
💡 雨が落ちる場所には、雨でも花や葉が傷まず、逆に魅力が増す植物を植えることで、しっとりとした葉の輝きや、雨粒をまとった花の姿を楽しめます。
- 雨粒を弾いて美しく見える植物:ルピナス、アルケミラ・モリスなど
- 雨に濡れても花が傷みにくい植物:シレネ、ミヤコワスレなど
- 雨に濡れても倒れにくい植物:カンパニュラ・ラプンクロイデスなど
西日しか当たらない場所
💡 西日しか当たらない場所は、その強光と夕日が植物の色や質感を際立たせます。光と影のコントラストを活かし、個性的な景観を演出できます。
- 強光を受けて美しく映える植物:ルドベキア、エキナセアなど
- 光と影のコントラストを強調する植物:ガウラ、ユーフォルビア 「ファイヤーグロー」など
- 乾燥や暑さに強い植物:コレオプシス、アキレアなど
北海道
💡 北海道では、耐寒性が高く、冷涼で乾燥した環境を好む植物を選べば、夏の蒸れや病害虫の心配が少なく、管理も楽になります。
- 日向向き:サンギネウム、ルドベキア、ラムズイヤーなど
- 半日陰向き:オダマキ、アストランティア、シレネなど
というように、意外とシンプルな解決策があるものです。もちろん、大がかりな改良をするのも良いですし、一部だけ調整する方法もあります。
また、必ずしもすべての場所に植物を植えなければならないわけではありません。本当に改良が必要な部分は、思い切ってテラスにしたり、パーゴラを設置したり、ベンチやテーブルを置くエリア、洗濯物を干すスペースにするのも良い選択です。
ただ、今回は「悪条件とされる場所に植物を植える」ことをテーマに、お話ししています。
まとめ|視点と発想次第で最高の場所に!
ガーデニングをしたくて庭を手に入れたのに、いざ土を掘ってみると、砂利やがれきだらけで大変な思いをしたり、水はけが悪すぎて業者に頼まなければいけないような大がかりな土壌改良が必要だったりすることもあります。これ、実はガーデニングあるあるなんです。
でも、誰もが金銭的にも体力的にも余裕があるわけではなく、知識やセンスに自信がないこともありますよね。こうした悩みは、ガーデニング初心者が最初にぶつかる大きな壁でもあります。
けれども、視点を少し変え、どんなことが可能なのか、発想の転換をしてみると、案外「悪くない場所」だったり、むしろ「最高の場所になる」可能性を秘めているのです。
「悪条件」と思いがちな場所も、視点を変えるだけで、庭との向き合い方が少し楽になるかもしれません。
水はけが悪いなら湿地を好む植物を、風が強いならしなやかに揺れる植物を。日陰なら、その環境だからこそ楽しめる緑を。どんな場所にも、その場所に合った庭の形があるはずなんです。
私は、それを見つけることや、目の前にある環境をいかに楽しむ努力ができるか、そういったことがガーデニングにおいて最も大切なことではないかと考えています。ガーデニングから日々の生活への学びも大きいものです。
ここで何やら偉そうに?書いていますが、そんな私も、本州でガーデニングを始めた頃は、自分の庭に不満だらけでした。けれどもあることがキッカケで、人生が大きく変わったと言っても良いくらい、考え方を変える出来事があったのです。それについては、いずれまた別のコラムでお話できればと思います。
あなたの庭には、あなただけの可能性があります。それって、すごいことだと思いませんか?
視点を変え、発想を広げていけば、きっと素敵な庭が生まれるはずです。あなたの庭にどんな変化が生まれるのか、楽しみですね!
👉 本記事のようなガーデニングに関する気づきや体験、アイデアなどは、「ガーデニングのあれこれ」のカテゴリーにまとめています。