
植物の病気とは?原因と概要

植物の病気は、環境や病原菌が原因で発生します。まずは、原因を知ることが対策の鍵です。
植物の病気とは、ウイルス、細菌、真菌(カビ)、または生理的な原因によって引き起こされる異常な状態のことを指します。これらの病気は植物の成長を妨げ、場合によっては枯死の原因となることもあります。
病気の主な原因は以下の通りです。
- ウイルス性病害:ウイルスによって引き起こされる病気で、モザイク病などが代表的です。葉に斑点や変色が見られることがあります。
- 細菌性病害:細菌が原因で、斑点病や萎ちょう病などが該当します。湿気の多い環境で特に発生しやすい傾向があります。
- 真菌性病害:最も一般的な植物の病気で、うどんこ病やさび病などがあります。胞子が風や水で広がり、他の植物に感染します。
- 生理的障害:栄養不足や過剰、日照不足、乾燥など環境要因による問題で、病原体とは無関係の症状です。
🌱 まとめ:これらの病気は、特定の環境条件(湿度、温度、不適切な土壌管理など)が整うと発生しやすくなります。また、早期発見と適切な対応が、植物の健康を保つ上で最も重要です。
代表的な植物の病気と症状
1. うどんこ病2. 灰色かび病
3. さび病
4. モザイク病
5. 根腐れ病
6. もち病
7. 立ち枯れ病
8. 青枯れ病
9. 炭疽病(たんそびょう)
10. 根頭癌腫病(こんとうがんしゅびょう)
11. 赤星病
12. 黒星病(黒斑病)
13. すす病

植物に現れる病気と症状を知れば、早めの発見と対応が可能になります!
植物に発生しやすい代表的な病気とその症状をリストアップします。これらの病気は、環境条件や植物の種類によって発生しやすさが異なります。
うどんこ病とは
- 症状:葉や茎に白い粉のようなカビが広がる。
- 原因:真菌(カビ)が原因で、風通しが悪い環境や湿気が多い条件で発生。
- 発生時期:春から秋にかけて特に多い。
- 北海道の特徴:昼夜の寒暖差が大きい冷涼な気候が発生を助長するため、注意が必要。
- うどんこ病の治し方を見る
灰色かび病とは
- 症状:葉や花に灰色のカビが生える。腐敗が進行すると枯れることがある。
- 原因:真菌が原因で、湿度が高い環境で繁殖しやすい。
- 発生時期:梅雨や湿度の高い季節。
- 北海道の特徴:梅雨がない北海道でも、日陰や雨の後の湿った環境で発生しやすい。
- 灰色かび病の治し方を見る
さび病とは
- 症状:葉の裏側に錆のような茶色や赤褐色の斑点ができる。
- 原因:真菌が原因で、水がかかる環境や過湿で発生しやすい。
- 発生時期:春と秋が多い。
- 北海道の特徴:夏でも涼しい時期や秋の冷え込みの中で発生しやすい。
- さび病の治し方を見る
モザイク病とは
- 症状:葉がモザイク状に黄緑や白くなる。成長が弱まり、花や実が不完全になることも。
- 原因:ウイルスが原因。ウイルスはアブラムシなどの害虫が植物間を移動して媒介する。
- 発生時期:春から夏にかけて特に注意。
- 北海道の特徴:アブラムシが少ない地域では発生しにくいが、発生する可能性はある。
- モザイク病の治し方を見る
根腐れ病とは
- 症状:根が黒ずんで腐り、植物がしおれたり枯れる。
- 原因:過剰な水やりや排水不良の土壌で真菌が繁殖。
- 発生時期:通年発生するが、特に梅雨の時期に多い。
- 北海道の特徴:湿気の多い雨の後に発生する場合があるが、全体的には発生しにくい。
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もち病とは
- 症状:穂や葉に白い粉をまとったような病斑ができ、進行すると腐敗。
- 原因:真菌(カビ)が原因で、高湿度や水はけの悪い環境で発生。
- 発生時期:梅雨から夏にかけて。
- 北海道の特徴:梅雨がないため発生しにくいが、湿気が多い日陰や雨の後に注意。
- もち病の治し方を見る
立ち枯れ病とは
- 症状:根や茎の基部が黒くなり、植物全体がしおれて枯れる。
- 原因:真菌が原因で、排水の悪い土壌や湿った環境で発生。
- 発生時期:春から初夏。
- 北海道の特徴:湿気の多い環境で発生することがある。
- 立ち枯れ病の治し方を見る
青枯れ病とは
- 症状:葉が急にしおれて青く変色する。夜間や曇り、雨の日は元気。根や茎が変色することも。
- 原因:細菌が原因。土壌や感染した植物から根を通じて広がる。高温で多湿の環境で発生しやすい。
- 発生時期:夏から初秋。
- 北海道の特徴:夏の高温が発生の条件になるため、発生しにくい。
- 青枯れ病の治し方を見る
炭疽病(たんそびょう)とは
- 症状:葉や果実に黒や茶色の斑点が現れ、果実が腐敗する。
- 原因:真菌が原因で、高湿度や雨が続く環境で発生しやすい。
- 発生時期:梅雨から秋。
- 北海道の特徴:梅雨がないため発生しにくいが、秋雨が多い場合は注意。
- 炭疽病の治し方を見る
根頭癌腫病(こんとうがんしゅびょう)とは
- 症状:根や茎の基部にコブ状の腫瘍ができ、成長が妨げられる。
- 原因:細菌が原因で、土壌や感染した植物を介して広がる。
- 発生時期:通年。
- 北海道の特徴:特に多年草や果樹の栽培で発生することがある。
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赤星病とは
- 症状:葉に赤や橙色の斑点ができ、葉の裏に胞子の塊が形成される。
- 原因:真菌が原因。ビャクシン類とバラ科植物の間で胞子が移動し感染する。湿気が多い環境で発生しやすい。
- 発生時期:春から初夏。
- 北海道の特徴:風通しの悪い環境で特に発生しやすい。
- 赤星病の治し方を見る
黒星病(黒斑病)とは
- 症状:葉に黒い斑点が現れ、進行すると葉が黄色くなり落葉する。
- 原因:真菌が原因。湿度が高く、葉が濡れた状態が続くと発生しやすい。バラや果樹に特に多い。
- 発生時期:初夏から秋。
- 北海道の特徴:冷涼な初夏や秋の湿気が多い時期に発生。
- 黒星病(黒斑病)の治し方を見る
すす病とは
- 症状:葉や茎に黒い煤状のカビが付着し、光合成が妨げられる。
- 原因:アブラムシやカイガラムシの排泄物にカビが繁殖することが主因。
- 発生時期:春から秋にかけて。
- 北海道の特徴:害虫が発生しにくい地域では発生リスクが低い。
- すす病の治し方を見る
🌱 まとめ:植物に発生する病気は、環境や管理の状態によって大きく左右されます。湿度や害虫の活動など、発生しやすい条件を知ることで、早めの対応が可能になります。病気ごとの症状や原因を把握し、健康な植物を育てるための管理を心がけましょう。
植物の病気を治す方法
1. 病気を治すための基本的な方法2. うどんこ病の治し方
3. 灰色かび病の治し方
4. さび病の治し方
5. モザイク病の治し方
6. 根腐れ病の治し方
7. もち病の治し方
8. 立ち枯れ病の治し方
9. 青枯れ病の治し方
10. 炭疽病の治し方
11. 根頭癌腫病の治し方
12. 赤星病の治し方
13. 黒星病(黒斑病)の治し方
14. すす病の治し方

病気の種類に合った適切な治療法で、植物を元気に回復させましょう!
植物が病気にかかった場合、早期発見と適切な対応が植物の回復を左右します。以下に、病気を治すための基本的な方法と病気別の治し方を挙げます。
病気を治すための基本的な方法
- 病気にかかった部分を取り除く:病変が見られる葉や茎、果実を早めに切り取ります。病原菌やウイルスが広がるのを防ぐため、使用する剪定ハサミはアルコールなどで必ず消毒してください。
- アルコールを使用:市販の消毒用エタノールを布やペーパータオルに含ませ、刃全体をしっかり拭き取ります。
- 漂白剤を使用:漂白剤を水で10倍に薄めた液に刃を浸し、5~10分放置。その後、水でしっかり洗い流して乾燥させます。
- 加熱消毒(応急処置として):刃をライターの火で軽く炙り、その後冷まして使用します(ステンレス製のハサミ向け)。
- 薬剤を使用する:病気の種類に応じた薬剤(殺菌剤や防腐剤など)を適切に使用します。薬剤は、発生初期に使用することで効果が高まります。
- 環境の改善:通気性を良くするために植物の密度を減らし、風通しを確保します。また、排水性の良い土壌を使い、湿気を溜めないように注意しましょう。
- 害虫の駆除:病気が害虫によって媒介される場合、害虫の駆除が必要です。例えば、モザイク病の場合、アブラムシを駆除することで再感染を防げます。
➡害虫駆除については『①害虫の種類と対策|植物を守る害虫リストと効果的な駆除法』をご覧ください。 - 感染した植物を隔離:他の植物への感染を防ぐため、病気にかかった植物を隔離し、様子を見ながら治療を進めます。
- 定期的な観察:病気が完全に治ったか確認するため、植物の状態を定期的にチェックします。再発防止のため、しばらく薬剤を継続的に使用することもあります。
うどんこ病の治し方
- 発病初期に病葉を取り除く。
- 市販の殺菌剤(硫黄剤やストロビルリン系薬剤)を散布する。
- 通気性を確保し、湿気を避ける。
灰色かび病の治し方
- 病気にかかった部分を早めに取り除く。
- ベノミルなどの殺菌剤を使用する。
- 植物間の間隔を広げ、風通しを良くする。
さび病の治し方
- 病葉を取り除き、清潔な環境を保つ。
- トリアゾール系の殺菌剤を散布する。
- 雨水が植物にかからないようにする。
モザイク病の治し方
- 病気にかかった植物は完全に取り除き廃棄する(回復は困難)。
- アブラムシなどの害虫を駆除することで拡散を防ぐ。
- ウイルス耐性のある品種を植える。
根腐れ病の治し方
- 排水の良い土壌に植え替える。
- 感染した根を取り除き、新しい土で栽培を再開する。
- 水やりを控え、過湿を防ぐ。
もち病の治し方
- 感染した葉や穂を取り除く。
- プロピネブ系殺菌剤を散布する。
- 通気性を確保し、湿度を減らす。
立ち枯れ病の治し方
- 感染部分を切除し、土壌を太陽熱消毒する。
- 予防的にベノミル系殺菌剤を散布する。
青枯れ病の治し方
- 病株を廃棄し、感染土壌を取り除く。
- 周囲の土壌を熱処理または石灰で消毒。
- 水はけを改善し、高温多湿を避ける。
炭疽病の治し方
- 病斑が出た葉や果実を早めに取り除く。
- ベノミルやマンコゼブ系の殺菌剤を使用する。
- 乾燥気味の環境を維持する。
根頭癌腫病の治し方
- 感染した植物と土壌を廃棄する。
- 発病後の治療は難しいため、感染防止が重要。
- 土壌を消毒し、耐病性の植物を選ぶ。
赤星病の治し方
- 病葉を取り除き、トリアゾール系殺菌剤を散布する。
- バラ科植物とビャクシン類を離して植える。
黒星病(黒斑病)の治し方
- 発生した葉をすぐに取り除き、焼却する。
- マンコゼブやジフェノコナゾール系の殺菌剤を使用。
- 雨が葉に溜まらないよう管理し、風通しを確保。
すす病の治し方
- アブラムシやカイガラムシなど、原因となる害虫を駆除する。
- 病気にかかった葉をふき取り、きれいにする。
- 害虫対策を徹底して再発を防ぐ。
🌱 まとめ:病気ごとの治療法を適切に実施することで、植物の健康を回復できます。定期的な観察と早めの対応で、病気の拡大を防ぎましょう。
植物の病気を予防する方法
1. 病気を予防するための基本的なポイント2. 病気に強い植物を選ぶポイント
3. 病気に強い代表的な植物例

病気は予防が大切!日頃の管理で植物を健康に育てましょう!
植物が病気にかかるリスクを減らすには、日常的な管理と環境の工夫が重要です。以下に、病気を予防するためのポイントをまとめました。
病気を予防するための基本的なポイント
- 植栽の間隔を適切に保つ:密植を避け、風通しの良い環境を作ることで病原菌や害虫の繁殖を防ぎます。
- 水やりは適切に:植物の葉に水がかからないよう、根元に水を与えましょう。過湿を避けるため、排水性の良い土壌を使用します。
- 定期的な剪定と清掃:古い葉や枯れた部分を取り除き、花がら摘み、雑草もこまめに取り除くことで、病原菌の発生や害虫の隠れ場所をなくします。
- 土壌を改善する:植物の健康を保つために基本的な土壌作りが重要です。また、栄養バランスの整った肥料を使用することで病気に強い植物を育てます。
➡土壌づくりについては『土づくり—植物を健康に育てるための基本』、『日陰の庭こそ土壌改良—日陰の庭に適した土壌づくり』を参考にしてください。 - 害虫対策を徹底する:病気の媒介者となる害虫(アブラムシなど)を早期に発見して駆除します。
➡害虫駆除については『①害虫の種類と対策|植物を守る害虫リストと効果的な駆除法』をご覧ください。
病気に強い植物を選ぶポイント
- 耐病性が高い品種を選ぶ
- 栽培地域や環境に合わせて、病気に強いとされる品種を選びましょう。たとえば、黒星病に強いバラや、耐湿性が高い多年草が推奨されます。
- 地域の気候に適した植物を選ぶ
- 北海道のような冷涼な気候に合った植物(耐寒性や湿度管理に優れたもの)を選ぶことで病気のリスクを軽減できます。
- 信頼できる苗を購入する
- 健康で病害虫に侵されていない苗を選ぶことが基本です。葉に斑点がないか、根がしっかりしているかを確認してください。
- 手入れがしやすい植物を選ぶ
- 密植を避けるため、大きく広がりにくい植物や管理が容易な植物を選ぶとよいでしょう。
- 耐病性のあるF1品種を選ぶ
- F1品種は「雑種強勢」と呼ばれる遺伝的強さを持ち、うどんこ病やモザイク病など特定の病気に耐性がある場合が多いです。育種段階で耐病性が高められた品種を選ぶことで、病気のリスクを大幅に減らせます。
- F1品種を選ぶ際の注意点
- 特定の病気への耐性に限られる:すべての病気に強いわけではないため、耐性の範囲を確認することが重要です。
- 次世代で特性が引き継がれない:毎年新しい種子を購入する必要があります。
- 適切な環境管理が必要:耐病性があっても、湿気や栄養不足など不適切な環境では病気が発生する可能性があります。
病気に強い代表的な植物例
- 多年草: ギボウシ、エキナセア、宿根アスター
- 一年草: サルビア、ジニア、マリーゴールド
- 木本類: ライラック、ユキヤナギ、ナナカマド
これらは、特定の病気に対して耐性があり、比較的育てやすい植物としておすすめです。
🌱 まとめ:植物の健康を守るためには、予防が何よりも効果的です。また、病気に強い植物を選ぶことで、管理の手間が減り、庭や植物の健康を保ちやすくなります。地域や環境に合った植物を選ぶことで、より長く植物を楽しむことができます。日頃から環境を整え、病気に強い植物を育てることで、病気のリスクを最小限に抑えましょう。
Q&A|植物の病気に関する疑問

「植物の病気」に関する「よくある質問と解決策」を以下にまとめました。
Q1: 病気を完全に予防することは可能ですか?
A: 完全に予防することは難しいですが、適切な環境管理や病気に強い品種を選ぶことでリスクを大幅に減らせます。👉詳しくは、[植物の病気を予防する方法]で解説しています。
Q2: 病気にかかった植物を復活させることはできますか?
A: 病気の種類や進行状況によりますが、早期に発見して適切な治療を行うことで回復が可能な場合が多いです。👉詳しくは、[植物の病気を治す方法]で解説しています。
Q3: 北海道のような冷涼地で特に注意すべき病気は何ですか?
A: 北海道ではうどんこ病や灰色かび病など、冷涼で湿度が高い環境で発生しやすい病気に注意が必要です。👉詳しくは、[うどんこ病とは]、[灰色かび病とは]で解説しています。
Q4: 病気に強い植物はありますか?
A: 耐病性の高いF1品種を選ぶことや、地域の気候に適した植物を選ぶことがポイントです。👉詳しくは、[病気に強い植物を選ぶポイント]、[病気に強い代表的な植物例]で解説しています。
Q5: 病気が広がらないようにするにはどうすればいいですか?
A: 感染した植物を早めに取り除き、隔離することが重要です。また、剪定道具の消毒や風通しの確保も効果的です。👉詳しくは、[病気を治すための基本的な方法]で解説しています。
まとめ|植物の健康を守るためのポイント
植物を病気から守るためには、環境管理や早期発見、適切な対策が欠かせません。これまで解説したポイントを押さえれば、植物を健康に保つことができます。

植物の健康を守るためには、日々の観察と適切なケアが何より重要です!
病気を予防・治療する際に薬剤を使う方法も効果的ですが、環境に配慮したナチュラルな方法にも注目が集まっています。次は、『③薬剤に頼らない方法|ナチュラルに植物を守る手入れと管理の工夫』でその具体的な方法をご紹介します。