
今年の観察記録|春の賑わいから猛暑後の静けさへ
今年の春は、例年と変わらずハナバチが数多く訪れ、庭や畑の花々を忙しく飛び回っていました。夏前半には蝶が異常に多く発生し、花壇や野草地を舞う姿が目立ちました。
ところが、真夏の猛暑期になると様子は一変。
ハエやアブといった耐暑性のある昆虫が増えたものの、猛暑が終わった直後から状況が急激に変わりました。ハナバチ、蝶、ハエ、アブといった主要な訪花昆虫(ポリネーターや益虫)の姿をほとんど見かけなくなったのです。
庭のベンチの上にハナバチの死骸も見つけました。
花自体はしっかり咲き続けていたため、資源不足が原因とは考えにくいと感じました。ハナバチやチョウは高温に弱いとされており、35℃前後で訪花が減り、38℃前後では活動がほとんど見られなくなることが報告されています。
そのため、今年の猛暑が大きな打撃になった可能性があります。
昆虫たちが激減したことで、どんな影響が出るか、考えてみました。
来年への影響|昆虫激減による実り不足と熊出没のリスク
訪花昆虫の激減によって、来年以降は次のような問題が連鎖的に起きる可能性があります。
- 受粉不良により果実や種子の量が減少する
- 翌年の芽吹きや野生植物の更新が鈍る
- 山野の果実が不足し、野生動物、とりわけ熊の食料が減る
すでに北海道各地では餌不足により熊が人里に出没し、死亡事故も起きています。今年の猛暑による訪花昆虫の激減は、来年さらに深刻な「実りの不足」につながり、熊の行動にも影響を与える可能性が高いと考えられます。
そうなると、私たちガーデナーは、特に家庭菜園を行う中で、気を付けるべきことがあります。
家庭菜園への注意点|熊に狙われやすい作物と対策
訪花昆虫が激減した影響は、私たちの身近な家庭菜園にも及びます。特に熊が好む作物の栽培には、例年以上に注意が必要となりそうです。例えば、次のような作物が挙げられます。
- スイカ・メロン・トウモロコシなどの甘い野菜
- リンゴやブドウなどの果樹
- ジャガイモやカボチャなどエネルギー源になる作物
これらは秋に熊の標的となりやすく、餌が山に不足する年ほど狙われる危険が高まります。
対策の基本
- 完熟した果実を畑や庭に放置しない
- 収穫後の残渣を畑に置きっぱなしにしない
- 防護柵や電気柵を設置する
こうした基本的な管理が、野生動物との衝突を避けるための第一歩となります。
ちなみに、未熟なスイカなども食べられている例も少なくないようなので、来年は熊の好物の栽培は避けるのも一つの手かもしれません。
庭先の小さな異変|生態系に大きな影響を及ぼす連鎖
今年の猛暑では、「花は咲いているのに昆虫がほとんどいない」という異常が現れました。
これを、ただの「小さな異変」と思う人もいるでしょう。ですが、これは単なる自然現象ではなく、来年以降の植物の実りや野生動物の食料不足、さらには人と熊との関わりにまで影響を及ぼす可能性があります。
実際、世界的にも、受粉昆虫が減ると果実や種子が減ることが報告されています。庭先での「小さな気付き」や「異変」も、同じことを示していると言えるでしょう。来年は、生態系全体に及ぼす連鎖の恐ろしさがさらに顕在化するかもしれません。
来春のハナバチの飛来数が、一つの指標になるでしょう。その様子を観察しながら、来年の兆しを探っていきたいですね。