⑥肥料の種類と役割

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こんにちは!kikoriです。北海道・道東で趣味のガーデニングをしています。今回は、ガーデニングの基礎⑥肥料の種類と役割についてお話します。

肥料の役割

植物は光合成によって自ら養分を作り出していますが、植物を大きくしたり、花付きを良くしたり、元気に育てる場合、植物が自ら作り出す養分だけでは不足してくることがあります。そんなときは肥料をあたえましょう。特に鉢植えでは必ずといって良いほど養分(肥料)不足になります。上手に使って植物を元気に育てましょう。

窒素・リン・カリ

一般的に植物が必要とする主な肥料は3つで、窒素・リン・カリす。

■窒素(N)・・・葉や茎をしっかりさせるために欠かせない
■リン(P)・・・花付きを良くしたり実付きを良くする
■カリ(K)・・・根の発達、発育を促し、植物を丈夫にする

一般的な市販の肥料には、たいていこの3つが配合されています。

肥料表示の見方

肥料の袋は以下のような標記になっています。

NーPーK=8-8ー8

この場合、100gの肥料にそれぞれ8gづつ含まれているという意味になります。

花を咲かせたいのか、葉っぱを楽しみたいのかで肥料の割合が変わるので覚えておくと、どれを買えば良いのか迷わなくて済みますよ。

肥料の種類

化成肥料

科学的に合成された無機質の肥料です。空気中の窒素や鉱物が原料です。ゆっくり効くタイプの緩効性かんこうせい肥料と、すぐ効くタイプの速効性が高いものがあります。

匂いがほとんどしないので、虫を寄せ付けづらいため、アパートやマンションのベランダ、鉢植えの土に向いています。土壌改良効果はありません。

有機質肥料

牛糞や鶏糞、油粕、落ち葉などの有機物のことで、基本的に未分解です。植物は、有機物をそのままでは肥料として吸収することができません。有機物が微生物に分解されて初めて肥料として植物が吸収できる形になります。

微生物によって徐々に発酵 ➡ 分解されるため、有機肥料はゆっくり効くタイプの緩効性かんこうせい肥料です。微生物が増えるため、土壌改良効果があります。

肥料の与え方

元肥(もとごえ)

植物を植え付けるとき、植え替えるときに土に混ぜて使う肥料。緩効性の化成肥料を使います。花を咲かせたい植物を植えるときにはリンが多いものを使ってください。肥料が根に当たると肥料焼けを起こすことがあるので、基本用土に混ぜて使います。

追肥(ついひ)

植物は成長とともに元肥を消費します。元肥を消費したら、肥料が足りなくなってきます。その場合に追加する肥料です。速効性のある化学肥料を使いましょう。鉢植えの場合の追肥には置き肥埋め肥液肥を使います。

置き肥・・・粒状の化成肥料です。土の上に置きます。水やりのたびに少しづつ流れて長く効きます。
埋め肥・・・有機肥料を粒状にしたものです。微生物に分解される段階でカビが発生しやすいので土の中に埋め込んで使います。ゆっくり長く効きます。
液肥・・・液体の化成肥料です。1週間に1度くらいの頻度で水やりの代わりに与えます。速効性がありますが、流れ出やすく肥料効果は持続しないので、置き肥や埋め肥と合わせて使います。

お礼肥(おれいごえ)

花を咲かせるとき、実をつけるとき、植物はたくさんのエネルギーを使います。そのため、花が咲いた後や実を付けたあと、植物は疲れています。疲れを回復させるために使う肥料です。ゆっくり効く緩効性肥料を使います。「綺麗に咲いてくれてありがとう」「実を付けてくれてありがとう」というお礼の意味が込められているのでお礼肥と呼ばれています。

寒肥(かんごえ)

11月~4月頃に与える肥料のことです。冬期は、寒さのため植物が休眠している状態で、成長はストップしています。その期間に肥料を与えることで、春からの成長が促され、葉や花が充実します。北海道では積雪前までにゆっくり効く有機肥料を施し、4月になり雪が完全に溶けて土が乾いてからは、雪の重みで固くなった土を耕し、化成肥料を施します。

活力剤と肥料の違い

液肥と混同されやすいのですが少し違います。活力剤は栄養剤とも言われますが、活力剤の成分は、ビタミンやミネラル(カルシウムやマグネシウム等)です。

私たち人間もそうですが、ビタミン、ミネラルが不足すると疲れたり元気がなくなったりしますよね。疲れを取ったり健康維持のためにサプリメントを摂取したりしています。活力剤は、簡単に言うと植物のサプリメントのようなもの。と、認識しておけば良いと思います。

樹木や日陰の植物は、基本的にゆっくりと成長するので肥料はさほど必要としません。肥料をさほど必要としない樹木に過剰に肥料をやると肥料焼けを起こして調子を崩したりします。日陰の庭の植物も肥料を与えると光を求めて間延びしたりします。どうしても肥料を与えたい!何か手間をかけてあげたい!ということであれば、活力剤を与える程度にしておくと良いと思います。

肥料切れのサイン

植物からの5つのサイン

どんな植物も調子が悪い時、必ずサインを出しています。毎日よく観察して、植物からのサインを見逃さないようにすれば、ベストなタイミングで肥料を与えることができます。以下の5つの項目が肥料切れのサインです。

■葉の色が薄くなる
■新しく伸びた葉が黄色くなる
■花付きが悪くなる
■花が小さくなる
■蕾が小さくなる、落ちる

植え付けた時や、花数が多く綺麗に咲いている時の写真を撮っておくと、比較しやすいのでおすすめですよ。

肥料は必ずしも必要ではありません。草花の様子を見て、葉が黄色くなっていたり、花付きが悪くなってきたら使ってみてください。

注意 肥料はそれぞれ商品によって使い方や成分が異なります。使用する際は、パッケージの成分や使い方をよく読んでご使用ください。

堆肥(たいひ)

堆肥たいひは稲や落ち葉、生ごみ、牛糞、鶏糞などの有機物を微生物に発酵させたものです。法律上は「特殊肥料」に分類されています。

微生物によって分解する余地が残っているため、微生物を増やしてくれるなどの働きで土壌改良剤として利用できます。

刈った草、マリーゴールド、クローバー、ひまわり、菜の花なども堆肥になるので、抜いたり剪定したりした草花は捨てずに、堆肥にしましょう。一年草は、秋に刈って、すき込んでおくと、翌年、良い土になってくれるでしょう。

緑肥(りょくひ)

緑肥りょくひ堆肥たいひと同じようなものですが、緑肥りょくひは「痩せた土地の地力ちりょくを回復させることが目的」です。

「畑などで野菜を育てて収穫する」という作業を繰り返していると、その畑の土は、窒素が減少したり、保水力が無くなったり、保肥力がなくなったり、微生物が減ったり、肥料成分が不足したりしてきます。逆に肥料成分が過剰になることもあるでしょう。つまり、その土地本来のバランスが崩れてしまうのです。その痩せた土を本来のバランスに戻し、地力を回復すために、緑肥を使います。

緑肥として使う代表的な植物は、イネ科とマメ科の植物です。

イネ科の植物は、土壌に肥料成分を供給、保持する効果があります。種類によっては過剰な肥料成分を吸収する効果もあります。土壌に有機物を補給する効果も高いので、それを分解する微生物が増殖する効果があります。センチュウや雑草を抑える効果もあります。
ソルゴー・エンバク・大麦などがあります。家庭ではなかなか使いづらいサイズです。

マメ科の植物には、窒素を固定する根粒菌こんりゅうきんを育てる効果やリン酸を供給する効果があります。センチュウを抑制し、土壌の団粒構造だんりゅうこうぞうを形成する働きもあります。
ヘアリーベッチ・セスバニア・クロタラリア・クリムゾンクローバー、レンゲなどがあります。クリムゾンクローバーやレンゲは、家庭でも使いやすいでしょう。

ひまわりは、キク科の植物ですが、北海道では緑肥としてよく使われているようです。空いた畑などに植えられています。土壌の菌根菌きんこんきんを増やしてくれます。菌根菌は、土壌のリン酸を吸収し、それを植物に供給する働きがあります。また、直根で深根性なので、土壌の透水性改善効果も期待できます。

カラシナは、アブラナ科の植物です。アブラナ科の植物は、グルコシノレートと呼ばれる辛味成分を多く含んでいて、これが土壌の消毒剤となり、抗菌作用によって病原菌を減らすので、野菜の病気を予防する効果が期待できます。カラシナは黄色い花が咲いて見た目にも良いのでおすすめです。

空いた土地の雑草防止や、使っていない花壇、これから草花づくりの予定がある場所などには、堆肥や緑肥で土づくりをしておくのがおすすめです。

腐葉土の種類

腐葉土は「腐葉土」と「完熟腐葉土」があります。腐葉土は、肥料と誤解されやすいのですが、肥料としての効果はほとんどないため、土壌改良剤と考えると良いですね。

腐葉土

一般的に見かける「腐葉土」と書かれた商品は、発酵途中のものです。つまり、まだ微生物によって分解する余地が残っているため、微生物を増やしてくれるので、土壌改良効果があります。

発酵途中の腐葉土」は、発酵途中に発生するガスやカビで植物の根を痛めてしまいます。庭の落ち葉を集めて使う場合も同じで、植物をすぐに植えると、発酵途中に発生するガスやカビで植物の根が傷んでしまいます。のんびり土壌改良する時に使いましょう。

完熟腐葉土

完熟腐葉土」は読んで字のごとく、葉っぱが腐って土化しているものを言います。落ち葉が微生物に完全分解された土です。しかし、一般的に見かける「完熟腐葉土」は、葉っぱの形が残っています。「ほとんど分解済み」という認識で良いと思います。

ホームセンターなどで見かける「完熟腐葉土」は、実はまだ発酵途中なのですが、ある程度、発酵が進んでいるので、発酵途中に発生するガスやカビの心配がほぼありません。ガスやカビで植物の根を傷めてしまうことがないので、植物をすぐに植えることができます。

腐葉土については、「日陰の庭こそ土壌改良」もご覧くださいませ♪